7. 【年金の支給開始】65歳の誕生日の約3ヵ月前に「老齢年金請求書」が届く
年金を受け取るための基本的な手続きとして、まず押さえておきたいのが「老齢年金請求書」の送付タイミングです。
原則として、65歳の誕生日を迎える約3ヵ月前に、日本年金機構から「老齢年金請求書(事前送付用)」が郵送されます。
この請求書には、基礎年金番号や加入記録などがあらかじめ印字されており、必要な情報が一通り記載されています。
年金の受給には、この請求書の提出が必要です。手続き方法は同封のパンフレットに詳しく説明されているので、内容をよく確認し、期限内に手続きを済ませましょう。
7.1 「特別支給の老齢厚生年金」が対象の場合は、65歳前に請求書が届くことも
年金の受給開始年齢は原則65歳ですが、「特別支給の老齢厚生年金」の対象となる方には、65歳より前に請求書が届く場合もあります。
この特別支給を受けるには、以下の条件すべてを満たしている必要があります。
- 男性の場合、昭和36年4月1日以前に生まれたこと
- 女性の場合、昭和41年4月1日以前に生まれたこと
- 老齢基礎年金の受給資格期間(10年)があること
- 厚生年金保険等に1年以上加入していたこと
- 生年月日に応じた受給開始年齢に達していること
例えば、2025年に条件を満たし、請求書が送付されるのは以下の方です。
- 63歳になる女性の方(昭和37年4月2日から昭和38年4月1日生まれ)
- 年金の加入期間が10年以上あり、厚生年金と共済組合の加入期間があわせて1年以上ある方
なお、60歳代前半に「特別支給の老齢厚生年金」を受けていた方は、65歳になると「老齢基礎年金」と「老齢厚生年金」へ切り替わります。
この際、改めて「年金請求書(国民年金・厚生年金保険老齢給付)」の提出が必要になりますので、手続きを忘れずに行いましょう。
8. まとめにかえて
2025年度は年金額の引き上げが実施され、老齢基礎年金・厚生年金の受給額がともに増加しました。
しかし、実際の年金額は収入や加入期間、受給開始年齢などによって大きく異なる点には注意しましょう。
さらに、年金受給の手続きや請求時期も把握しておくことも大切です。
特に、特別支給の老齢厚生年金を受け取っていた方は65歳での再請求が必要な場合もあるため、書類の見落としや手続きの遅れには十分注意しましょう。
参考資料
- 厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします」
- 日本年金機構「年金はいつ支払われますか。」
- 厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
- 日本年金機構「老齢年金請求書の事前送付」
加藤 聖人