2025年度、公的年金の支給額が1.9%引き上げられたことで、モデルケースでは厚生年金(夫婦2人分)が年額約5万3000円増加するなど、年金生活者にとっては嬉しい改定となりました。
とはいえ、実際の受給額は収入や加入期間によって大きな差があり、自分がどれほど受け取れるのかは気になるところです。
本記事では、日本の公的年金制度の「2階建て構造」をおさらいした上で、60歳代から90歳以上までの平均年金月額を1歳刻みでご紹介。加えて、年金請求のタイミングや注意点についても解説しています。
これから年金を受け取る方や、今後の生活設計を考えるシニア世代にとって、役立つ情報をまとめました。
1. 公的年金制度の仕組みをおさらい
日本の公的年金制度は、以下のような「2階建て構造」になっています。
1.1 【第1階部分:国民年金(基礎年金)】
- 対象:20歳以上60歳未満の全国民
- 保険料:2025年度は月額1万7510円(一律)
- 40年間保険料を納めた場合、満額は月6万9308円(2025年度基準)
1.2 【第2階部分:厚生年金】
- 対象:会社員、公務員など
- 保険料と年金額:収入と加入期間に応じて変動(個人差あり)
- 将来的には「厚生年金」と「国民年金」の両方を受給
さらに、公的年金に上乗せできる仕組みとして、以下のような「私的年金制度」も利用可能です。
- 企業年金
- iDeCo(個人型確定拠出年金) など
2. 2025年度は厚生年金と国民年金の受給額が1.9%アップ
2025年度の年金額は、2024年度と比べて1.9%の引き上げとなりました。
- 国民年金(老齢基礎年金(満額・1人分)):6万9308円(+1308円)
- 厚生年金(夫婦2人分):23万2784円(+4412円)
※昭和31年4月1日以前生まれの方の老齢基礎年金の満額は月額6万9108円(対前年度比+1300円)
※厚生年金は「男性の平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)45万5000円)」で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準
モデルケースの増額分を年額で換算すると、国民年金(満額)は1万5696円の増加、厚生年金(夫婦2人分)は5万2944円の増加となります。
ただし、実際の年金支給額は、加入期間や現役時代の収入によって大きく異なるため、個人差が生じる点には注意が必要です。
では、実際に年金を受給している60歳代から90歳以上の方々は、平均でどのくらいの年金を受け取っているのでしょうか。
次章では、60歳代から90歳以上までの平均年金月額を1歳刻みで詳しく見ていきます。