5. 【家族の生活を守る】遺族年金の仕組み

生計を支えていた人が死亡した場合、遺族に対して遺族年金が支給されます。遺族基礎年金と遺族厚生年金では受給対象者が異なるため、それぞれ確認しておきましょう。

5.1 遺族基礎年金

以下1から4のいずれかの要件を満たしている方が死亡したとき、遺族基礎年金が支給されます。

1.国民年金の被保険者である間に死亡したとき
2.国民年金の被保険者であった60歳以上65歳未満の方で、日本国内に住所を有していた方が死亡したとき
3.老齢基礎年金の受給権者であった方が死亡したとき
4.老齢基礎年金の受給資格を満たした方が死亡したとき

1または2の要件については、死亡日の前日において、保険料納付済期間(保険料免除期間を含む)が国民年金加入期間の3分の2以上あることが必要です。

死亡日が2036年3月末日までのときは、死亡した方が65歳未満であれば、死亡日の前日において死亡日が含まれる月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がなければ要件を満たします。

3または4の要件については、保険料納付済期間・保険料免除期間・合算対象期間・65歳以降の厚生年金保険の被保険者期間を合算した期間が25年以上必要です。

なお、遺族基礎年金を受給できる遺族は「子のある配偶者」または「子」に限られます。

子とは、18歳になった年度の3月31日までにある方、または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある方が該当します。

5.2 遺族厚生年金

以下1から5のいずれかの要件を満たしている方が死亡したときは、遺族に遺族厚生年金が支給されます。

1.厚生年金保険の被保険者である間に死亡したとき
2.厚生年金の被保険者期間に初診日がある病気やけがが原因で初診日から5年以内に死亡したとき
3.1級・2級の障害厚生(共済)年金を受けとっている方が死亡したとき
4.老齢厚生年金の受給権者であった方が死亡したとき
5.老齢厚生年金の受給資格を満たした方が死亡したとき

1または2の要件については、死亡日の前日において、保険料納付済期間(保険料免除期間を含む)が国民年金加入期間の3分の2以上あることが必要です。

死亡日が2036年3月末日までのときは、死亡した方が65歳未満であれば、死亡日の前日において死亡日が含まれる月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がなければ納付要件を満たします。

4または5の要件については、保険料納付済期間・保険料免除期間・合算対象期間・65歳以降の厚生年金保険の被保険者期間を合算した期間が25年以上必要です。

なお、遺族厚生年金を受給できるのは、死亡した方に生計を維持されていた遺族のうち、最も優先順位の高い方です、

1.子のある配偶者
2.子(18歳になった年度の3月31日までにある方、または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある方)
3.子のない配偶者
4.父母
5.孫(18歳になった年度の3月31日までにある方、または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある方)
6.祖父母

6. まとめにかえて

年金制度は老後の生活保障だけでなく、障害や死亡といった人生のリスクに対する包括的な保障システムです。現役の頃は「保険料が高い」と感じるかもしれませんが、リスクへの備えとして大切な役割を果たしています。

老齢年金の受給には10年以上の加入期間が必要で、障害年金や遺族年金にはそれぞれ詳細な要件が設けられています。年金制度を正しく理解し、長生きリスクや障害リスク、遺族の生活保障に備えましょう。

参考資料

柴田 充輝