3. 住民税非課税世帯が受けられる恩恵とは
住民税非課税世帯が受けられる恩恵としては、以下のようなものが挙げられます。
- 高額療養費の自己負担限度額の緩和
- 政府の物価高対策の給付支援
非課税世帯になった際は、有効活用しましょう。
3.1 高額療養費の自己負担限度額の緩和
住民税非課税世帯は、高額療養費の自己負担限度額が課税世帯と比べて極端に低いです。医療費は1ヵ月の自己負担限度額が決められており、限度額を超えて支払った分は、高額療養費として払い戻されます。
自己負担限度額は70歳以上と69歳以下で分かれます。限度額は以下のとおりです。
70歳以上〜
- 住民税非課税世帯:2万4600円
※外来は8000円 - 住民税非課税世帯(年金収入80万円以下など):1万5000円
※外来は8000円
69歳以下
- 住民税非課税世帯:3万5400円
負担限度額が1万円〜3万円台のため、持病や体調不良で通院する機会が増えても安心して医療を受けられます。高額療養費が後日払い戻しされる制度のため、病院の窓口では一度負担額全額を立て替えなければなりません。マイナ保険証を活用すれば、限度額以上の負担をせずに済むため、制度とあわせて活用しましょう。
3.2 政府の物価高対策の給付支援
政府が近年複数回にわたって支給している物価高対策の給付金は、住民税非課税世帯が主な対象となっています。
たとえば、2025年の1月からは、住民税非課税世帯1世帯あたり3万円の給付金が支給されました。また、自由民主党は今夏の参議院選挙の公約として、国民1人あたりに2万円を給付すると表明しましたが、住民税非課税世帯は2倍の4万円を支給する見込みです。
住民税が非課税であれば、今後もこうした支援を受けやすいです。給付を受ける際は申請が必要なケースが多いため、忘れずに手続きを済ませましょう。
4. まとめ
年金をもらいながら働く際は、住民税が非課税になる年収のボーダーラインが「年金収入のみ」「給与収入のみ」の場合よりも高くなります。住民税非課税世帯になれば日常のさまざまなシーンで恩恵を受けられるでしょう。
住民税を非課税にする場合は、年金額はなかなか金額調整しにくいため、働き方を調整して給与額を一定額まで抑えるとよいでしょう。また、年金と給与以外にも収入がある場合や一時的な臨時収入があった場合は、住民税が課税されるケースもあるため、注意しましょう。
参考資料
- 東京都主税局「個人住民税」
- 水戸市「市民税・県民税の概要と税額の計算について」
- 富良野市「市民税について」
- 厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」
- 東京都後期高齢者医療広域連合「限度額適用認定証」
石上 ユウキ