2025年6月11日、厚生労働省は「令和6年度の障害年金の認定状況に関する調査報告書」を公表しました。「不支給の増加」障害年金に関する一連の報道を受け、令和6年度の認定状況について調査を実施。不支給となったケースや精神障害の認定に関する実態、今後の対応策などが明らかになりました。
今回は、厚生労働省が公表した「令和6年度の障害年金の認定状況」に関する調査結果をもとに、不支給の背景や認定の課題、制度の仕組みについてわかりやすく整理して解説します。
1. 【障害年金「不支給増」報道の真相】調査結果から見る3つのポイント
令和6年度の認定状況についての調査は、新規裁定1000件と再認定1万件を無作為抽出し、不支給または支給停止となった事案(新規130件、再認定105件)について個別に確認が行われました 。さらに、新規裁定で不支給となった精神障害のケースなど64件については、審査担当職員や認定医へのヒアリングも実施されました 。
報道を受けて実施した「令和6年度の障害年金の認定状況」調査結果について3つのポイントにそって解説します。
※本記事では厚生労働省の調査における「新規裁定において支給に至らなかった事例(非該当)」を、わかりやすく「不支給」と表現しています。
1.1 ポイント①「支給に至らなかった割合」13%、過去最多水準に
令和6年度の新規裁定における不支給割合は13.0%で、令和5年度の8.4%から大きく上昇しました 。これは、障害年金業務統計の公表開始以来、過去最多だった令和元年度(12.4%)とほぼ同水準です 。
1.2 ポイント②支給に至らなかったケースの75.3%「下位等級に認定される」
不支給割合の上昇は、特に精神障害で顕著でした 。精神障害の非該当割合は令和5年度の6.4%から12.1%に増加し、新規申請で支給に至らなかった精神障害の事案のうち、75.3%が「障害等級の目安より下位等級に認定、複数等級にまたがる場合に下位等級に認定」による不支給とされていました。
1.3 ポイント③審査書類の丁寧さ・透明性の改善が課題
今回の調査では、審査書類において判断理由が不明確な点や、申請者にとって分かりにくい理由付記文書が見受けられました 。今後は、審査書類の丁寧な記載の徹底や理由付記文書の改善、不支給事案の複数認定医による審査などが対応策として挙げられています 。
下位等級への認定が増えることは、「本来障害年金を受給できるはずの人が適切な支援を受けられなくなる」可能性を示唆しており、生活に大きな影響を与えかねません。
精神障害の認定は、客観的な数値指標だけでは判断が難しい側面がある中で 、審査書類の記載不足や分かりにくさが課題として指摘されており、今後の改善が求められています 。
では次に、障害年金の対象となる主な病気や等級の概要について詳しく見ていきましょう。