ここ数年続いていた超低金利時代に変化の兆しが見え始め、個人向け国債の金利にも上昇の波が訪れています。
長らく1%未満が続いていましたが、現在募集中のものは、変動10年・固定5年ともに1%。
「今が買い時では?」と考える人も少なくありません。
しかし一方で、ネットや一部の投資家からは「それでも買うべきではない」との慎重な意見も。
安全資産とされる個人向け国債になぜ“待った”がかかるのでしょうか。その理由と背景を探ってみましょう。
1. 個人向け国債とは?安全性と基本の仕組み
個人向け国債は、日本政府が発行する債券のうち、個人投資家向けに販売されているものです。
最大の特徴は「元本保証」であり、発行元である国が元利金の支払いを約束しているため、きわめて安全性が高い金融商品として位置づけられています。
種類は3つあり、「変動金利・10年満期」「固定金利・5年満期」「固定金利・3年満期」が基本です。
財務省の発表によると、令和7年5月における個人向け国債の種類別の応募額は、下記のとおりです。(出所:財務省「個人向け国債の応募額(令和7年5月)」)
- 個人向け利付国庫債券(変動10年)第182回債 1,229億円
- 個人向け利付国庫債券(固定 5年) 第170回債 1,455億円
- 個人向け利付国庫債券(固定 3年) 第180回債 662億円
今後も金利の上昇が期待されるなら、半年に1回金利が変動する「変動10年」を投資先として選定する人も多いでしょう。半年ごとに市場金利に応じて利率が見直される仕組みで、最低でも年0.05%の利率が保証されています。
ここでは、154回国債を例に見ていきたいと思います。
- 令和5年2月16日~令和5年8月15日:適用利率(税引前)0.33%
- 令和5年8月16日~令和6年2月15日:適用利率(税引前)0.28%
- 令和6年2月16日~令和6年8月15日:適用利率(税引前)0.40%
- 令和6年8月16日~令和7年2月15日:適用利率(税引前)0.72%
- 令和7年2月16日~令和7年8月15日:適用利率(税引前)0.75%
- 令和7年8月16日~令和8年2月15日:令和7年7月2日発表予定
利率(税引前)はいったんは下がったものの、おおむね徐々に上昇し、2025年2月16日から半年間の適用金利は、0.75%と1回で受け取る利子が増加していることが分かります。
また、1万円から購入可能であり、購入後1年を経過すれば中途解約も可能(※)という柔軟さも魅力です。
※中途解約時には、直近2回分の利子相当額が差し引かれます。