4.2 「国民年金」男女別平均年金月額・受給額分布
- 〈全体〉平均年金月額:5万7584円
- 〈男性〉平均年金月額:5万9965円
- 〈女性〉平均年金月額:5万5777円
受給額分布(1万円刻み)
- 1万円未満:5万8811人
- 1万円以上~2万円未満:24万5852人
- 2万円以上~3万円未満:78万8047人
- 3万円以上~4万円未満:236万5373人
- 4万円以上~5万円未満:431万5062人
- 5万円以上~6万円未満:743万2768人
- 6万円以上~7万円未満:1597万6775人
- 7万円以上~:227万3098人
国民年金の場合、全体、男女ともに平均年金月額は5万円台です。
ボリュームゾーンは「6万円以上~7万円未満」となり、多くの人が満額に近い年金額を受給している様子が分かります。
5. 【遺族厚生年金の見直し】原則5年間の有期給付に
2025年6月13日に成立した「年金制度改革法」の大きな狙いの一つは、働き方や家族構成の多様化に応じた年金制度の整備です。
今回の改正では、いわゆる「106万円の壁」撤廃に関連する社会保険加入要件の拡大のほか、遺族年金に関する見直しも盛り込まれました。
現在の遺族厚生年金のしくみでは、受給者の性別によって下記のような男女差がありました。
現在のしくみ
- 女性
- 30歳未満で死別:5年間の有期給付
- 30歳以上で死別:無期給付
- 男性
- 55歳未満で死別:給付なし
- 55歳以上で死別:60歳から無期給付
こうした男女差の解消に向けた見直しは、男性については2028年4月から実施、女性は2028年4月から20年かけて段階的に実施されます。
見直し後
- 男女共通
- 60歳未満で死別:原則5年間の有期給付(配慮が必要な場合は5年目以降も給付継続)
- 60歳以上で死別:無期給付(現行通り)
なお、今回の改正では「遺族基礎年金」の見直しも盛り込まれました。
同一生計にある父または母が遺族基礎年金を受け取れなかったケースでも、2028年4月からは、こどもが単独で「遺族基礎年金」を受け取れるようになります。
6. 「年金だけで生活する」というのは難しい時代になっている
今回は厚生労働省年金局のデータをもとに、令和シニアの年金事情について深堀りしました。
ここ数年続く物価高の影響は、現役世代に限らず年金生活者にとっても深刻な問題です。とはいえ、現役世代であれば働いて収入を増やすなど、ある程度の対策がとれる場合もあります。
一方で、年金世代にとっては「働く」といってもそう簡単ではありません。再就職先が見つかりにくかったり、健康面で不安があったりと、さまざまな制約があるのが現実です。
そうなると、頼りになるのは老後生活の柱である年金収入ですが、「年金だけで生活する」というのは難しい時代になっています。
「年金だけじゃ生活が苦しい」という状況にならないために、私たち現役世代はいまのうちから老後資金をしっかり準備しておくことが大事です。
まずは、老後資金を準備するための方法について、いろいろと情報収集するところから始めましょう。
参考資料
- 厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします」
- 厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構 年金Q&A「ねんきんネット」のユーザID・パスワードを忘れてしまいました。どうすればいいですか。
- 厚生労働省「年金制度改正法が成立しました」
マネー編集部年金班