最近は「障害年金の申請について不支給になったケースが2024年度に増加」とニュースが報じられたこともあり、社会全体で「障害者支援制度」に注目が集まっています。その中で「障害年金」と「障害者手帳」は目的もしくみも異なる制度ですが混同されやすく、正しい理解が求められています。
今回は厚生労働省の「令和4年生活のしづらさなどに関する調査」をもとに、「精神障害者保健福祉手帳」の所持状況や等級ごとの違い、受けられる支援内容について解説します。
1. 「約9割が在宅」障がいがある人を支える地域の支援
日本に障がいがある人はどのくらいいるのでしょうか。
厚生労働省が公表する「令和4年生活のしづらさなどに関する調査(全国在宅障害児・者等実態調査)結果の概要」をみていきましょう。
※本調査は不定期に実施されており、2022年(令和4年)の前回は2016年(平成28年)に行われています。今回ご紹介する数値は、現時点での最新の調査結果に基づいています。
1.1 在宅・施設別の障がい者の総数について
【2022年】在宅・施設別の障がい者の総数
※( )内は全体の割合
- 障がい者総数:1164万6000人→人口の約9.3%にあたる
- うち在宅:1116万人(95.8%)
- うち施設入所:48万7000人(4.2%)
障がい者の9割以上が「在宅生活」、とくに「身体障害者」・「精神障害者」では95%超
障がい者の総数1164万6000人のうち、在宅で暮らす人は1116万人で圧倒的多数を占めています。中でも「身体障害者」・「精神障害者」では95%超が在宅生活であり、施設入所者はごく少数です。これは地域生活を支える支援体制が広がっていることや、外出・通院を含む在宅支援の整備などが背景にあると考えられます。
ここまでで、障がいの種類によって支援のニーズが異なり、在宅で生活する方が多いことがわかりました。こうした支援を受けるための制度のひとつに「障害者手帳」があり、手帳には「身体障害者手帳」「療育手帳」「精神障害者保健福祉手帳」の3種類があります。ただし、すべての障がいのある方が手帳を所持しているわけではなく、制度の利用には申請や認定が必要です。
次は「精神障害者保健福祉手帳」の所持者について詳しく見ていきましょう。