2. 「なぜ私が?」支援金の負担が必要な理由
なぜ独身や子どものいない人でも、子ども・子育て支援金の負担が必要なのでしょうか。こども家庭庁では、以下のように回答しています。
- 少子化・人口減少の問題は日本経済・地域経済全体の問題であり、すべての人にとって重要な課題である。
- 独身や子どものいない人でも、少子化の状態でも現行の経済・社会システムや国民皆保険制度を維持していくのは、重要な意義がある。
つまり、私たちの経済や社会保険のシステムを維持していくために、必要な負担だとしているのです。
また、支援金負担は社会保険料に上乗せされる形で徴収されるため「増税」ではありません。独身の人や子どもがいない人だけでなく、全世代が負担するものであり「独身税」「子なし税」といった名称も適切ではありません。
前述のとおり、支援金の財源は医療・介護の歳出の見直しと賃上げによる社会保険料の負担軽減分としており、国は実質的な負担は少ないものだとしています。
しかし、反発は大きいものです。
子どもがいない世帯や子育てが終わった世帯にとっては、児童手当の拡充や出産・育児の支援といった恩恵は受けられません。にもかかわらず賃金が上がらずに負担が増えてしまうと、手取りが減ってしまうことになります。
加えて、現在の健康保険・年金保険については「現役世代の保険料で高齢者を支える」という構図ができあがっています。
これに加えて「子育て世代を全世代で支える」となれば、独身や子どものいない現役世代は「高齢者世代+子育て世代」を支えなければならないのです。
賃金が上がらずに負担だけが増えて手取りが減れば、消費活動の減退が懸念されます。支援金徴収により、現状の生活の苦しさがさらに悪化する不安や失望から、反発の声が挙がっているのです。
次章では、支援金の負担が始まってからの手取り額の変化を試算します。