3. 106万円の壁は2026年10月に撤廃の見込み
106万円の壁は、2026年10月に撤廃の見込みです。国会で「年金法案」が可決されたことで、社会保険の適用拡大がさらに進む形となります。
具体的な変更点は、以下のとおりです。
- パート労働者など短時間労働者の社会保険の適用要件のうち、収入要件106万円を2026年10月ごろに撤廃見込み。
- 対象企業の規模は現在「従業員51人以上」だが、2027年10月から段階的に撤廃。
このため、2026年の秋ごろからは、従業員51人以上の企業で働くすべての人が社会保険に加入する必要があります。また、従業員人数の要件が段階的に撤廃されれば、会社に勤めるすべての人が社会保険に加入しなければならない可能性があります。
社会保険は厚生年金が受け取れて老後の生活費が増える点や、健康保険により出産や病気の際に手当が受けられる点がメリットです。しかし、社会保険料を負担する必要があり、手取り給料が減ってしまうデメリットがあります。
今後106万円の壁が撤廃されると「額面給与をそのまま受け取る」という人はほとんどいなくなるでしょう。働く誰もが「手取り」を気にしなければならないのです。
4. まとめ
年収の壁の引き上げにより、所得税がかからなくなる年収は収入103万円から収入160万円まで引き上げられました。しかし、住民税や社会保険料の負担が重く、年収を57万円増やせたとしても、実際に手元に残るのは30万円程度です。
加えて、106万円の壁の撤廃も決まり、いよいよ額面どおりの給与を受け取るのは難しくなってきました。手取りをいかにして増やすかが、私たちの今後の重要な課題となるでしょう。
参考資料
- 国税庁「令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について」
- 自由民主党「令和7年度税制改正大綱」
- 厚生労働省「『年収の壁について知ろう』あなたにベストな働き方とは?」
- 東京都主税局「個人住民税」
- 全国健康保険協会「令和7年3月分(4月納付分)からの健康保険料・厚生年金保険の保険料額表」
- 厚生労働省「令和7(2025)年度 雇用保険料率のご案内」
- 厚生労働省「社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律案の概要」
石上 ユウキ