3. 70歳以上《ふたりの暮らし》有職世帯 vs 無職世帯「資産の内訳」に違いはあるのか?

長く続く低金利、そして昨今の物価上昇を考えたとき「資産の置き場所」について意識を高めている世帯もあるでしょう。

ここからは、70歳以上以上世帯の「貯蓄の内訳」について、就労状況別に見ていきます。

3.1 70歳以上・2人以上世帯「有職世帯」

  • 金融機関:2351万円
    • 通貨性預貯金:861万円
    • 定期性預貯金:729万円
    • 生命保険など:342万円
    • 有価証券:418万円
      • 貸付信託・金銭信託:8万円
      • 株式:272万円
      • 債券:24万円
      • 投資信託:114万円
  • 金融機関外:10万円

3.2 70歳以上・2人以上世帯「無職世帯」

  • 金融機関:2453万円
    • 通貨性預貯金:762万円
    • 定期性預貯金:842万円
    • 生命保険など:378万円
    • 有価証券:472万円
      • 貸付信託・金銭信託:7万円
      • 株式:248万円
      • 債券:57万円
      • 投資信託:160万円
  • 金融機関外:5万円

70歳以上・2人以上世帯の金融機関貯蓄額は、無職世帯が2453万円と、有職世帯の2351万円を上回っています。定年退職金や長年の資産形成の結果が影響していることも考えられそうです。

どちらの世帯も「通貨性預貯金」と「定期性預貯金」が貯蓄全体の約65%を占めています。

有職世帯は通貨性預貯金(861万円)、無職世帯は定期性預貯金(842万円)がそれぞれ最も多く、流動性と安定性を重視している様子もうかがえます。

リスク性資産である「有価証券」については、無職世帯が472万円と、有職世帯の418万円よりやや多く保有していますね。

内訳を見ると、無職世帯は投資信託が160万円(有職世帯は114万円)と46万円多く、債券も57万円(有職世帯は24万円)と33万円多くなっています。リタイア後の資産運用への取り組みや、これまでの投資経験がうかがえる結果でもありそうです。

一方で、有職世帯は株式が272万円(無職世帯は248万円)と24万円多く保有しており、現役で働きながらも積極的に資産運用をおこなう世帯が一定数存在すると考えられます。

「生命保険など」については、無職世帯が378万円と有職世帯(342万円)よりやや多く、将来への備え意識の高さがうかがえます。

70歳以上の二人以上世帯の貯蓄を見ると、就労状況にってリスク許容度や運用目的が変わってくる傾向も見られると言えそうです。