最近、「障害年金の不支給が増えている」との報道が注目され、制度への不安を感じている方もいるかもしれません。一方で、実際の認定件数のデータでは、支給が継続されているケースも多く見られます。障害年金は一定の条件を満たし、自ら申請して認定を受けることで受給できる制度です。今回は令和5年度の「障害年金業務統計」をもとに、新規裁定や再認定の状況をひもときながら、制度の基本や支給額の仕組みについて解説します。
1. 【令和5年度統計】障害年金の新規裁定は14万件、再認定は23万件超え!
障害年金を受給するためには、受給資格がある人かどうか認定されなければいけません。認定されずに非該当となることも含めて初めて障害年金受給の申請をする件数を「新規裁定」といいます。また、すでに障害年金の受給者が引き続き年金をもらうために申請をする件数を「再認定」といいます。
どのくらいの人が障害年金の受給者として認定されているのでしょうか?
年金機構が令和6年9月に発表した「障害年金業務統計(令和5年度決定分)」の決定区分別件数についてみていきましょう。
令和5年の【新規裁定】件数と割合
- 障害基礎・厚生合計:14万2209件
- 1級:1万6603件 ー11.7%
- 2級:8万7365件 ー61.4%
- 3級:2万5903件 ー18.2%
- 障害手当金:391件ー0.3%
- 非該当:1万1947件ー8.4%
※障害等級3級と障害手当金は障害厚生のみ
令和5年の【再認定】件数と割合
- 障害基礎・厚生合計:23万2850件
- 継続:22万4111件ー96.2%
- 増額: 4357件ー1.9%
- 減額: 1845件ー0.8%
- 支給停止:2537件ー1.1%
令和5年の障害認定について、【新規裁定】と【再認定】でポイントにしぼって解説します。
1.1 【新規認定】はおよそ14万件
令和5年に初めて障害年金の受給者として認定されるか判断を受けた件数は、障害基礎・厚生合わせて14万2209件でした。また、障害等級の中でも「2級」が最多で、日常生活に大きな支障がある人が中心に新規認定されていることがわかります。
また、非該当として認定されなかった人も1万1947件と一定数いることも読み取れます。
1.2 【再認定】はおよそ23万件
障害年金は一度認定されたらずっと自動で受給できるわけではありません。障害状態が変わることもあるため、診断書を提出して定期的に認定を受ける必要があります。令和5年の【再認定】区分では、96%と大多数の人が継続して障害年金の認定をうけていることがわかります。増額・減額・支給停止になった人はごく一部のみということも読み取れます。
令和5年度の障害年金では、新たに申請した人や、すでに受給している人の多くが認定を受けて支給されていることがわかりました。
では、「実際に障害年金はどのような仕組みで、それぞれの障害等級でいくらもらえるのか?」
障害年金の仕組みと年金額についてみてみましょう。