新年度が始まってから2ヵ月が経ち、新たな体制に慣れてきた人も多いでしょう。なかには、4月から昇進して管理職になった人もいるのではないでしょうか。
管理職には「部長」「課長」などさまざまな役職があり、それぞれ賃金は異なります。加えて、管理職にはいまだに男女での給与格差も見られる状況です。物価高の現代において、給与の格差は生活に与える影響が大きいと考えられます。
管理職の賃金は、男女でどれくらいの差があるのでしょうか。この記事では、管理職の給与格差について解説します。
1. 【部長・課長・係長】管理職の賃金格差はどれくらい?
管理職の賃金格差はどれくらいあるのでしょうか。まずは役職別に見てみましょう。
男女計
- 部長級:62万7200円
- 課長級:51万2000円
- 係長級:38万5900円
男性
- 部長級:63万6400円
- 課長級:52万2400円
- 係長級:39万6300円
女性
- 部長級:54万9900円
- 課長級:45万8100円
- 係長級:35万4000円
部長級の給与は50万円から60万円台ですが、課長級は40万円から50万円と、10万円ほどの差があります。企業の各部の長である部長は、その責任の重さや勤続年数、経験の豊かさなどから、ほかの役職に比べると一段と高い賃金が設定されているのでしょう。
いわゆる中間管理職と呼ばれる課長級は、部長にはおよばないものの、月額50万円台の給与を受け取る人もいるようです。一方で、上司と部下との間で板挟みになったり、プレイングマネージャーのような働き方をしている人がいたりするなど、精神的・肉体的にも厳しい労働環境に置かれているケースもあります。
業種や業務内容にもよりますが、部長の仕事よりも課長の仕事のほうが大変だと感じる場合もあるのではないでしょうか。
1.1 根強く残る「男女差」
男女の賃金差をあらためて比較してみましょう。
男性
- 部長級:63万6400円
- 課長級:52万2400円
- 係長級:39万6300円
女性
- 部長級:54万9900円
- 課長級:45万8100円
- 係長級:35万4000円
男性の部長級は60万円台である一方、女性の部長級は50万円台で、約10万円もの差があります。係長級のころは差が4万円程度と少ないですが、課長・部長と昇進するにつれて、差は開いているようです。
男女差がある要因としてはさまざまなことが考えられます。たとえば、女性は男性に比べて管理職の人数が少ないのです。厚生労働省の「令和5年度雇用均等基本調査」によれば、企業規模10人以上の会社の女性の管理職の人数は、以下のとおりです。
- 部長級:7.9%
- 課長級:12.0%
- 係長級:19.5%
係長級でも全体の20%であり、課長級は10%超、部長級は7%台と少なくなっています。母数が少ない分、平均額も上がりにくくなっていると考えられます。
このほかの要因としては、親族の扶養手当や住居手当などを夫が受け取っており、支給される手当が男性より少ないことや、結婚・出産による退職などにより、ひとつの企業での勤続年数が男性ほど長くないことなどが挙げられるでしょう。
次章では、管理職の給与や男女差の格差是正の対策を解説します。