3. 「夫婦で年収を増やす」ことで老後の年金はどのくらい増える?
厚生労働省が発表した「令和7年度の年金額改定についてのお知らせ」によると、標準的な夫婦世帯が受け取る年金の月額は23万2784円とされています。
なお、この「標準的な夫婦世帯」とは、以下のような条件を満たすケースを指します。
- 夫婦ともに国民年金を満額受給
- 夫が現役時代に平均標準報酬額45万5000円で40年間厚生年金に加入
- 配偶者は厚生年金に加入していない
ただし、上記の年金額はあくまで一例であり、実際の受給額は加入期間や収入状況によって変わることに注意が必要です。
たとえば、ここで示したケースは妻が専業主婦である想定ですが、夫婦共に働いている場合には、受け取る年金額がより多くなる可能性があります。
次章では、夫婦共働きの場合に年金がどの程度増えるかを、厚生労働省の「令和7年度の年金額改定についてお知らせします」を参考にシミュレーションしてみましょう。
3.1 夫婦ともに「厚生年金期間中心(20年以上)」の場合の年金額
以下の年収と加入期間を前提に、現役時代に厚生年金に20年以上加入していた場合、夫婦で受け取れる年金額はおよそ「30万円」となります。
【厚生年金期間中心(20年以上)の男性のケース】
2025年度の年金月額:17万3457円
- 平均厚生年金期間:39.8年
- 平均収入:50万9000円※賞与含む月額換算
- 基礎年金:6万8671円
- 厚生年金:10万4786円
【厚生年金期間中心(20年以上)の女性のケース】
2025年度の年金月額:13万2117円
- 平均厚生年金期間:33.4年
- 平均収入:35万6000円※賞与含む月額換算
- 基礎年金:7万566円
- 厚生年金:6万1551円
前章で取り上げた「夫の平均収入が45万5000円で妻が専業主婦」のケースと比べると、年金受給額は約7万円の差が生じます。
このように、現役時の平均収入が老後の年金額に大きく関わるため、早めに自身の年金見込みを確認し、足りない分は老後資金として準備しておくことが大切です。
具体的な年金受給額については、「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」を利用して確認することをおすすめします。
4. 「年金収入を増やす方法」と「十分な老後資金の確保」を考えよう
本記事では、「夫婦で収入を増やすこと」が老後の年金額にどのような影響を与えるのかについて解説していきました。
少子高齢化の進行に伴い、将来的には年金の給付額が減少するリスクも指摘されています。
また、本記事で示した「収支の赤字」はあくまで平均的な生活費の不足分に過ぎず、実際には医療費や介護費などの追加支出も考慮する必要があります。
これらの状況を踏まえ、将来に備えて「年金収入を増やす方法」と「十分な老後資金の確保」の両面から準備を進めることが一層重要だと言えるでしょう。
参考資料
和田 直子