「親しき中にも礼儀あり」という言葉が古くからありますが、「礼儀」を判断するのは中々難しいものですね。
特にお金のことになると親しい中でも中々話しづらく、聞きづらいものです。
筆者もあまり関心がありませんでしたし、何となく親は準備しているのであろうと思っていました。
ある日両親にお葬式代など用意しているか聞いたところ「保険は何も入ってないし、亡くなったら海にでもまいてくれればいいよ」と言われました。
本人はそれでよいかもしれませんが、残された家族にとってはそうはいかないことも多々あります。
今回はなかなか聞きづらい老後世帯のお金周りについて詳しく解説していきます。
1. 【老齢年金世帯】65歳以上無職夫婦「ひと月の収入・支出はいくら?」毎月赤字?
金融経済教育推進機構(J-FLEC)が2024年12月に公表した「家計の金融行動に関する世論調査 2024」では、60歳代・70歳代の二人以上世帯において、60歳代の32.6%、70歳代の30.6%が「日常生活費程度もまかなうのが難しい」と回答。
年金にゆとりがない理由として「物価上昇」「医療費・介護費負担の増加」などが上位に挙がっています。
完全リタイア後の老齢年金世帯では、現役時代よりも収入が下がるケースが一般的ですから、今後も引き続き、こうした負担感が増えることが見込まれるでしょう。
まずは、総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」から、「65歳以上の夫婦のみの無職世帯」の家計収支を確認していきます。
1.1 【老齢年金世帯】65歳以上無職夫婦:毎月の収入
- 収入合計:25万2818円
- うち社会保障給付(主に年金):22万5182円
1.2 【老齢年金世帯】65歳以上無職夫婦:毎月の支出
- 消費支出:25万6521円
- 非消費支出:3万356円
支出合計28万6877円
この世帯の場合ひと月の収入は25万2818円、その約9割22万5182円を公的年金などの社会保障給付が占めます。
一方で支出の合計は28万6877円。そのうち社会保険料や税などの「非消費支出」が3万356円、いわゆる「生活費」にあたる消費支出が25万6521円でした。
この夫婦世帯の場合、毎月約3万円の赤字となり、貯蓄の取り崩しなどで補填する必要があります。
そこで気になるが「老齢年金世代」の貯蓄事情です。次では65歳以上世帯の貯蓄額データを見ていきましょう。