3. 就職氷河期世代の“お金が貯まらなかった構造的理由”
就職氷河期世代が貯蓄を十分に行えなかった背景には、個人の努力ではどうにもならない社会的・経済的な構造の壁が存在しています。
非正規雇用の長期化と収入の低さ
就職氷河期世代は、正社員になれず非正規雇用で働く人が多くいました。
非正規は収入が少なく、賞与や退職金もないため、生活を維持するだけで精一杯という人も多いのが実情です。
長く非正規でいると正社員に転職するのも難しくなり、収入面の改善が見込めず、貯蓄に回せる余裕が生まれにくくなります。
転職市場の整備不足とキャリア構築の難しさ
当時は転職支援や職業訓練が充実しておらず、一度非正規になると正社員への道が閉ざされがちでした。
また、非正規の職歴がキャリアとして評価されにくい風潮もあり、安定した雇用や収入を得にくい状況が続きました。
住宅ローンや教育費にお金がかかる時期と重なったタイミングの悪さ
この世代は結婚・子育て・住宅購入など支出が増える時期に差し掛かっています。
収入が限られるなかで住宅ローンや教育費が重なり、将来に備えた貯蓄をする余裕がないまま中高年期を迎えるケースも多く見られます。
これらのように、現時点での貯蓄不足は本人の努力だけでは解決しがたい構造的な問題といえます。