2. 就職氷河期世代の貯蓄額はどれくらい?
就職難については前章でお伝えしてきましたが、では実際に就職氷河期世代は貯蓄できているのでしょうか?
詳しく見ていきたいと思います。
2.1 データで見る就職氷河期世代の“貯蓄のリアル”
J-FLEC 金融経済教育推進機構が実施した「家計の金融行動に関する世論調査 二人以上世帯(2024年)」のデータを基に、40歳代・50歳代の貯蓄状況を見ていきましょう。
※調査の貯蓄額には、日常の支出や口座引き落としのための普通預金残高は含まれていません。
40歳代・50歳代では貯蓄ゼロが2~3割と高めで推移しており、他の世代と比べても資産形成が遅れている傾向がわかります。
さらに、これらの世帯の平均値と中央値は以下の通りです。
40歳代・50歳代の貯蓄額(平均値・中央値)
- 40歳代 944万円・250万円
- 50歳代 1168万円・250万円
貯蓄がある層でも中央値は250万円程度とされ、他の年代に比べて少ないこともわかるでしょう。
就職難であったことに加え、この世代は結婚や子育て、住宅ローンといった支出が増える時期と重なっており、十分な貯蓄ができていないまま中高年を迎えているケースが多くあります。
2.2 他世代と比較して見える課題
では他の世代はどうでしょうか。60歳代以上(就職氷河期より上の世代)の貯蓄を見てみると、
60歳代の貯蓄額(平均値・中央値)
2033万円・650万円
70歳代の貯蓄額(平均値・中央値)
1923万円・800万円
70歳代においては中央値が800万円ほどとかなり高くなっている一方で、就職氷河期世代の中央値はその半分以下であり、かなり苦しい現状です。
貯蓄に回す余力が少ない生活を長年強いられてきた影響が表れています。
この先退職金や年金もこの世代では期待しづらい現状があり、「老後2000万円問題」が特に深刻にのしかかる層でもあります。