2025年5月16日、「社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律案」が国会に提出されました。

賛否両論、さまざまな意見が飛び交い、いまもなお議論されている「国民年金(基礎年金)の底上げに厚生年金の積立金を流用する」案。

もしかしたら「年金積立金」というものを今回はじめて見聞きしたという人もいるかもしれません。「わたしたちが納めている年金保険料をリスクのあるものに投資して運用するなんて…」と不安になった人もいるでしょう。

本記事では、厚生年金の積立金とは何か、公的年金の積立金はどのように運用されているのかを解説していきます。

1. 公的年金の積立金とは?

公的年金の「積立金」とは、将来の年金給付のためにプールされているお金のことです。

日本の公的年金制度は、現役世代が納める年金保険料を、その時の年金受給者の年金給付に充てる「賦課方式」を採用しています。

しかし、納められた保険料のうち年金給付に充てられずに残った保険料の一部は、「年金積立金」として積み立てられているのです。

積立金の役割

積立金の役割

出所:厚生労働省「積立金の役割」

前述のとおり、年金給付の主な財源は、私たちが毎月支払っている「保険料」です。

しかし、保険料だけでは足りない場合、不足分は「国庫負担(税金)」でまかなわれます。

それでもまだ足りない場合は、「年金積立金」を取り崩して年金給付に充当される仕組みになっているのです。

この「年金積立金」ですが、ただプールしているだけではインフレや賃金上昇などにより資産価値が目減りしてしまう可能性があるため、一部を運用しています。この運用を行うのが「年金積立金管理運用独立行政法人=GPIF」です。

年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は厚生労働大臣から「年金積立金」を預かり、運用と管理を行っています。

では、年金積立金は現在どのくらいあるのでしょうか。厚生年金と国民年金でそれぞれどのくらいあるのかを確認していきます。