4.2 【支給停止になる場合】
給与(賞与を含む)が47万円、年金が21万円の場合、合計金額は68万円になります。68万円>51万円となるため、年金の一部が支給調整されます。
支給停止額=(47万円+21万円-51万円)×1/2=8万5000円
8万5000円が支給停止となるため、受給額は12万5000円(21万円-8万5000円)となります。
なお、厚生労働省は基準額について、2026年4月より現在の月51万円から62万円に引き上げる方向で調整しています。
これにより、「働き損」が解消され手取りが増えることが期待されています。
5. 法律や制度の動向に着目しながら「老後の生活や働き方」を考えましょう
2025年4月から高年齢者雇用安定法が改正され、定年を65歳未満に定めている企業に対し「65歳までの安定した雇用を確保する措置」が義務付けられています。
年金を繰上げ受給しながら働くことも可能ですが、1カ月の年金額と給与の合計額が51万円を超えると、年金の一部または全部が支給停止となります。
年金受給額を減らさないためには、給与と年金額の合計額を確認しながら調整する必要があります。
生活に関わる法律や制度の動向に着目しながら、老後の生活や働き方について考えてみてはいかがでしょうか。
参考資料
- 日本年金機構「60歳以降も引き続き勤めます。勤めていても年金は受けられますか。」
- 日本年金機構「在職老齢年金の計算方法」
- 厚生労働省「高年齢者雇用安定法の改正~70歳までの就業機会確保~」
- 厚生労働省「年金制度改正法案を国会に提出しました」
- 厚生労働省「経過措置期間は2025年3月31日までです4月1日以降は別の措置により、高年齢者雇用確保措置を講じる必要があります」
- 厚生労働省「65歳までの雇用機会の確保(義務)70歳までの就業機会の確保(努力義務)」
- 日本年金機構「年金の繰上げ受給」
木内 菜穂子