3. 60歳から「繰上げ受給」しながら働く選択肢も…注意点は?
公的年金の受給開始年齢は原則として65歳からですが、60歳以降も働きながら、国民年金や厚生年金を繰上げ受給することが可能です。
3.1 繰上げ受給とは
年金の繰上げ受給とは、希望により国民年金と厚生年金を、60歳から65歳までの間に繰り上げて受給できる制度です。
ただし、1カ月繰り下げるごとに0.4%減額され、仮に5年間繰下げて60歳から受給開始する場合は、24%(0.4%×60カ月)の減額となります(※)。
なお、一度繰上げ受給を選択すると取消しはできず、減額率は生涯にわたり適用されます。
また、国民年金と厚生年金は同時に繰り上げる必要があり、別々に繰り上げることはできないことに注意しましょう。
※1962年4月1日以前生まれの方の減額率は0.5%で最大30%
4. 「年金+月給」が51万円を超えると年金額が調整される
60歳以降に厚生年金に加入しながら年金を受給する場合、1カ月の厚生年金と給与の合計が51万円(2025年度の支給停止調整額)を超えると、厚生年金の一部または全額が支給停止されます。
支給停止額は以下の計算式で求めます。
支給停止額=(基本月額+総報酬月額相当額-51万円)×1/2
なお、「基本月額」とは年額の年金受給額を12で割った金額で、「総報酬月額相当額」とは毎月の給与(標準報酬月額)と1年間の賞与の合計額を12で割った金額の合計です。
基本月額と総報酬月額相当額の合計額から51万円を引いた金額の2分の1が、支給停止になる金額です。
では、「支給停止にならない場合」と「支給停止になる場合」の具体例を見ていきましょう。
4.1 【支給停止にならない場合】
給与(賞与を含む)が28万円、年金が17万円の場合、合計金額は45万円になります。
45万円<51万円なので、年金は全額受給することが可能です。