chocoZAPの成長が著しいRIZAPグループ株式会社が、2025年3月期の連結業績で3期ぶりの営業黒字を達成しました。5月15日に開催された決算説明会では、次の戦略として「FC展開」を推し進め、出店を再加速させる考えを示しました。
1. 【RIZAP/25年3月期決算】3年ぶりの営業黒字も収益力は伸び悩み
同グループの25年3月期における売上高は1710億9000万円(前期比5.2%増)、営業利益は18億8200万円で、3期ぶりとなる営業黒字を達成しました。EBITDAも243億5500万円まで伸長しており、収益力が継続的に向上していることもうかがえます。
RIZAPグループ株式会社は25年3月期に3期ぶりとなる営業黒字を達成1/11
出所:RIZAPグループ株式会社提供
数字の上では好調に見える一方、子会社であるRIZAP株式会社に対して約114億円の債権を放棄していたり、chocoZAPの品質改善を図る投資が想定以上に膨らんだりと、収益力に関しては伸び悩んだ1年でもありました。
決算説明会で同グループの瀬戸健社長は「中期経営計画に対して、ゴールは変えない」としつつも、「品質改善や収益力向上といった課題への対応のために柔軟に計画の軌道修正を行う」とコメントしました。
RIZAPグループ株式会社の瀬戸健社長2/11
筆者撮影
2. 【RIZAP/25年3月期決算】急ピッチで進めた店舗改善、成果は?
同グループが25年3月期に注力したのが、chocoZAP店舗の品質改善です。無人店舗という前例のない業態の急速な成長は、店舗管理に関するさまざまな問題を引き起こし、既存会員の満足度に悪影響を与えていました。
chocoZAPは「持続可能な成長」というキーワードをしばしば掲げていますが、その実現のために規模の成長ペースを一時的に落とし、集中的に品質改善へ投資を行いました。
例えば、フィットネスマシンの故障率・不具合率は24年11月時点で6.1%でしたが、25年5月時点では1.8%に改善。セルフメンテナンス会員やちょこっとメンテナンス(店舗の品質向上に特化した定期巡回スタッフ)などの仕組みを導入し、短期間で成果を挙げています。
フィットネスマシンの故障率・不具合率が大幅に改善3/11
出所:RIZAPグループ株式会社提供
品質改善の過程では、夏場のエアコン故障に伴う緊急対応など、想定外のトラブルも発生。その解消のために、店舗の温度や湿度を最適化する自動制御システムを導入しました。当初予定よりこれらの品質改善に対する投資額は増加しましたが、長期的には店舗運営のコスト減につながる取り組みとなりそうです。
温度や湿度を最適化する自動制御システムに投資4/11
出所:RIZAPグループ株式会社提供
定期巡回スタッフやフレンドリー会員、セルフメンテナンス会員の品質を均一化するためのマニュアルが整えられたことも、品質向上に貢献しています。各店舗の清掃状況などの評価が底上げされ、会員の満足度もアップしているとのことでした。
660項目にも及ぶマニュアルも作成し、メンテナンス品質の均一化を図った5/11
出所:RIZAPグループ株式会社提供
3. 【RIZAP/25年3月期決算】FC展開の開始で出店数を再加速
当初目標に届かなかった25年3月期ですが、2026年3月期は収益力向上をテコに大幅増益を見込んでいます。具体的には、営業利益は前期の6.1倍となる110億円、EBITDAは1.3倍となる320億円を目指します。
収益力の停滞をもたらした品質改善への投資ですが、売上や会員数の伸びに依存しない収益構造が強化され、1店舗あたりの損益分岐点は大きく押し下げられました。chocoZAPは25年5月15日時点で約1800店舗を展開しているため、その効果は絶大です。
「3月より4月、4月より5月で店舗運営にかかるコストは抑制されている」(瀬戸社長)とのことで、26年3月期の収益力は自然に上向くことが予想されます。
コストを大幅に削減したことで26年3月期は大幅な収益力向上が見込まれる6/11
出所:RIZAPグループ株式会社提供
そして、新しい成長エンジンとして期待されるのが、FC展開の開始です。意外にもこれまでchocoZAPは全店が直営店で、実験スピードが速いという利点はありながら、自己資本に依存するという欠点もありました。
FC展開は以前から社内で議論されていたそうですが、店舗の品質改善がひと段落し、マニュアルなどによる均一化の目途が立ったことで、満を持してトライアルに進むことになりました。
FC展開に踏み切ることで、出店を再加速させる7/11
出所:RIZAPグループ株式会社提供
FCモデルのメリットは他社資本を活用したり、中小/地元企業が対象の助成金・補助金を受けたりできることです。オーナー側にとっても、無人運営が前提となるchocoZAPの業態はハードルが低く、魅力的なものになりそうです。
先述した通り、現在のchocoZAPの店舗数は約1800店舗ですが、国内の出店余地は自力出店で4500店舗、自治体連携で1700店舗と試算しています。FC展開は5月15日からトライアルをスタートしており、テストマーケティングをしながら最適化を目指します。
将来的には直営店/FC店舗などで6000店舗以上の出店を視野に入れている8/11
出所:RIZAPグループ株式会社提供
4. 【RIZAP/25年3月期決算】グローバル展開にも商機、アジア圏で手応え
FC展開と並んで出店戦略の柱となるのが、グローバル展開です。すでに4市場(中国・香港・台湾・アメリカ)で、計14店舗を出店していますが、瀬戸社長は「手応えをつかみつつある」と語ります。
グローバル市場にも大きな可能性を見出している9/11
出所:RIZAPグループ株式会社提供
アジア圏、特に香港では、日本と商習慣や健康意識において類似が多く、chocoZAPのモデルがフィットしている模様。現地のニーズを反映した集客やサービス内容の最適化も行っており、拡大に向けた準備も整いつつあります。今後は東南アジアなどの商圏への進出も狙っていくとのことでした。
5. 【RIZAP/25年3月期決算】次の収益軸も着々と成長中
新規事業に関しても、chocoZAP会員の拡大が後押しとなり、着々と成長しています。たとえば、EC事業はプライベートブランド商品(プロテインやスーツなど)を楽天やAmazonでも展開。前年度と比較して、約4.4倍の売上増につなげています。
EC事業も順調に成長10/11
出所:RIZAPグループ株式会社提供
chocoZAP店舗を活用した広告事業は、24年3月期4Qから25年3月期4Qで売上が1.8倍に伸長。店舗ジャックや店内ポスター、サンプリング、テスターなど、販売枠のラインナップも豊富で、店舗数の増加に伴いさらなる成長が期待されています。
店舗数の増加が広告事業の成長を後押し11/11
出所:RIZAPグループ株式会社提供
chocoZAPは事業成長を3フェーズで区分しており、現在はPhase 0の「ジムのバリアフリー化」を経て、Phase 1「ユニバーサルサービス化」の最終局面を迎えている段階です。今後はPhase 02「健康の社会インフラ化」に移行していく予定で、FC展開だけでなく会員にメリットがあるサービスの価値向上にも期待できそうです。
参考資料
大蔵 大輔