2025年5月16日、総務省統計局は「家計調査報告(貯蓄・負債編)―2024年(令和6年)平均結果―(二人以上の世帯)」を公表しました。
これによると、世帯主が65歳以上の世帯の貯蓄現在高は平均2509万円、貯蓄保有世帯の中央値は1658万円。
シニアの就労を後押しする制度の整備が進むいま。60歳代以降の暮らしとお金まわりは「就労の有無」でも事情が変わってくるのでしょうか。
今回は、同調査結果の詳細表をもとに、「60歳以上・二人以上世帯」の貯蓄事情を、「無職世帯」と「働く世帯」で比較してみます。
1. 60歳~75歳以上《世帯主の年齢別》2人以上世帯「無職世帯」の割合は?
総務省統計局が公表する「家計調査 貯蓄・負債編―二人以上の世帯―(2024年)」をもとに「働く世帯」と「無職世帯」の世帯数分布(1万分比)を確認していきます。
※なお、ここでは『60歳以上の者がいる世帯』を1万世帯に換算したデータとして扱っています。また、四捨五入の関係で、世帯数や金額の合計が総計と合わない箇所があります。
1.1 【1万分比】世帯主が60歳以上:9150世帯
- 無職世帯(※1):5902世帯
- 無職世帯を除く勤労者以外の世帯(※2):981世帯
- 勤労者世帯(※3):2267世帯
※1 無職世帯:世帯主が無職である世帯。例えば、年金、恩給、仕送り金、保険金、財産収入等により家計を営んでいる世帯
※2 無職世帯を除く勤労者以外の世帯:世帯主が社長、取締役、理事など会社団体の役員である世帯
※3 勤労者世帯:世帯主が会社、官公庁、学校、工場、商店などに勤めている世帯
1.2 【1万分比】世帯主が65歳以上:7552世帯
- 無職世帯:5639世帯
- 無職世帯を除く勤労者以外の世帯:755世帯
- 勤労者世帯:1157世帯
1.3 【1万分比】世帯主が70歳以上:5769世帯
無職世帯:4787世帯
有業世帯:983世帯
1.4 【1万分比】世帯主が75歳以上:3760世帯
- 無職世帯:3319世帯
- 有業世帯:441世帯
1.5 《世帯主の年齢別》2人以上世帯「無職世帯」の割合
世帯主の年齢別にみた無職世帯の割合は以下の通りです。
《世帯主の年齢別》2人以上世帯「無職世帯」の割合

出所:総務省統計局「家計調査 貯蓄・負債編 第8-10表<貯蓄・負債>貯蓄及び負債の1世帯当たり現在高 (高齢者のいる世帯)世帯主の就業状態別」をもとに筆者作成
- 世帯主が60歳以上の世帯:64.5%
- 世帯主が65歳以上の世帯:74.7%
- 世帯主が70歳以上の世帯:83.0%
- 世帯主が75歳以上の世帯:88.3%
世帯主の年齢が上がるとともに、無職世帯の割合の増加が顕著になっていきます。勤労収入から年金などへと収入源が移り、老後資金準備の大切さを実感していくことになると言えそうです。
次では、年金とともに老後の暮らしを支える「貯蓄額」につい、世帯の就労状況別に見てみましょう。