2025年度の公的年金額は、6月13日(金曜日)に支給される「4月分の年金」から、前年度より1.9%増額されます。
とはいえ、日ごろの生活で実感する物価上昇を考えたとき、「本当にこれで安心できるのか?」と不安を覚える人もいるでしょう。実際、年金増額率は物価上昇率に追いつけておらず、実質的には目減りの状態となっているのです。
「将来、年金だけに頼る生活は心もとない…」シニア世代の方々だけではなく、働き盛りの現役世代にとっても、他人事ではありませんよね。
この記事では、いわゆる「退職世代」ともいえる65歳以上世帯の家計・貯蓄事情にフォーカス。最新の年金データにも触れながら、老後のお金について考えていきます。
1. 【退職世代】65歳以上無職夫婦《標準世帯のリアルな家計収支》ひと月の赤字は約3.4万円
2025年3月11日に総務省統計局が公表した「家計調査報告〔家計収支編〕2024年(令和6年)平均結果の概要」によると、標準的な65歳以上無職夫婦世帯の家計収支は、ひと月約3万4000円の赤字となりました。
元となるデータを見てみましょう。
1.1 65歳以上の夫婦のみの無職世帯の家計収支(2024年)
毎月の実収入:25万2818円
■うち社会保障給付:22万5182円
毎月の支出:28万6877円
■うち消費支出:25万6521円
- 食料:7万6352円
- 住居:1万6432円
- 光熱・水道:2万1919円
- 家具・家事用品:1万2265円
- 被服及び履物:5590円
- 保健医療:1万8383円
- 交通・通信:2万7768円
- 教育:0円
- 教養娯楽:2万5377円
- その他の消費支出:5万2433円
- 諸雑費:2万2125円
- 交際費:2万3888円
- 仕送り金:1040円
■うち非消費支出:3万356円
- 直接税:1万1162円
- 社会保険料:1万9171円
毎月の家計収支
- 3万4058円の赤字
この世帯の場合、毎月の収入は25万2818円、そのうち約9割(22万5182円)が公的年金などの社会保障給付となっています。
一方で支出の合計は28万6877円。そのうち消費支出(いわゆる生活費)が25万6521円、非消費支出(税や社会保険料など)が3万356円でした。
この夫婦世帯の場合、毎月3万4058円の不足分を、主に貯蓄の取り崩しなどで補填していくことになります。
なお高齢者世帯は持ち家率が高い傾向にあることから、「住居費」は1万6432円と低くなっています。賃貸住宅に住む場合は、家賃との差額を上乗せして考える必要があります。また、上記の支出項目には「介護費用」が含まれていません。