新緑がまぶしい5月。ゆっくり過ごす時間の中で「今ある資産であと何年暮らせるのか」と不安になる方もいらっしゃるかもしれません。
筆者はファイナンシャルプランナーとして、「お金の見える化」の大切さをお伝えしています。
今回は70歳代単身世帯の金融資産データをもとに、老後の支出と資産の持ちを考える“資産寿命”について解説します。
手元の資産を減らさずに守るには、いくらで何年もつのかを知ることが第一歩。
1. 「資産の分布が幅広い!」70歳代単身世帯のお財布事情
まずは、J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査(2024年)」70歳代単身世帯の金融資産保有額階層ごと(金融資産非保有世帯を除く)世帯割合についてみていきましょう。
※貯蓄額には、日常的な出し入れ・引落しに備えている普通預金残高は含まれません。
- 100万円未満:7.0%
- 100~200万円未満:7.8%
- 200~300万円未満:6.7%
- 300~400万円未満:5.4%
- 400~500万円未満:3.0%
- 500~700万円未満:10.0%
- 700~1000万円未満:8.1%
- 1000~1500万円未満:12.1%
- 1500~2000万円未満:6.5%
- 2000~3000万円未満:8.4%
- 3000万円以上:21.8%
- 無回答:3.2%
- 平均:2257万円
- 中央値:1000万円
70歳代単身世帯の金融資産保有額階層ごと(金融資産非保有世帯を除く)世帯割合についてポイントにそって解説していきます。
1.1 中央値は1000万円、平均は2257万円と大きな差
70歳代単身世帯の平均金融資産は2257万円。
一見すると余裕があるように思えますが、中央値は1000万円。これは一部の資産が多い人が平均を押し上げているためで、「実際の中間層」の金額感としては1000万円前後を基準に考えるのが現実的です。
1.2 3000万円以上の人が約5人に1人もいる
3000万円以上保有している人が21.8%と、高額資産層も一定数存在しています。
一方で、100万円未満の人も7.0%おり、資産の分布は非常に幅広いのが特徴。
老後資金の持ち方や使い方には、個人差が大きいことがこのグラフからもわかります。
1.3 「自分はどの層か」を知ることが第一歩
平均や中央値だけでなく、自分自身がどの階層に属しているかを把握することが老後の資金計画のスタート地点です。
過不足なく、安心できる暮らしを目指すには、自分の立ち位置と支出バランスを見える化しておくことが大切です。
「いくら持っているか」より、「そのお金で何年暮らせるか」が大切。次は、“資産寿命”の考え方を紹介します。
2. 「資産寿命」=今あるお金で暮らせる期間
資産寿命とは、貯蓄や公的年金など今ある資産を生活費として使い続けたときに、”資産がいつまでもつか”を表す言葉で、「今あるお金で暮らせる期間」のことをいいます。
そして、資産寿命シミュレーションを利用することで、未来のお金について視覚的にイメージすることができます。
あくまでも一例ですが、資産寿命シミュレーションのイメージ図と使うメリットなどポイントにそって解説していきます。
資産寿命シミュレーションのイメージ図2/2
出所:LIMO編集部作成
2.1 ポイント① お金が「いつまで」もつかが視覚的にわかる
資産寿命シミュレーションのイメージ図に記載のグラフでは、
- 手元の資産:1000万円
- 公的年金などの年間収入:180万円
- 生活費などの年間支出:230万円
という前提条件のもと、毎年50万円ずつ赤字になる場合の資産の減り方をシミュレーションしています。
グラフでは2つの場合を表していますが、
- 赤線(運用しない):約20年で資産がゼロになる
- 青線(年利3%運用):約30年近く資産がもつ
→「あと何年暮らせるか?」がひと目でわかるので、不安の正体を“見える化”できます。
2.2 ポイント② 運用の効果を数字と線で実感できる
運用するかどうかで、資産寿命に約10年の差が出ているのがポイント。
年利3%のような手堅い目標の資産運用でも、長期的に見ればお金のもち具合が大きく変わることがわかります。
「運用ってこわいもの」と思っていた方も、リスクを抑えた備え方として理解が進みやすいかもしれませんね。
2.3 ポイント③ 計画的な支出・備えを考えるきっかけに
「いつ資産がゼロになるか」が見えることで、以下のような行動につながります。
- 必要な生活費の見直し
- 医療・介護費など突発的な支出への備え
- 早めに資産運用をはじめるなどの検討
「将来に備えて何かしなきゃ」と感じていた人が、具体的に何をすればいいかが見えてくるのが大きなメリットです。
3. 「あと何年もつか」で考える貯蓄の安心度
今回はJ-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査(2024年)」をもとに、70歳代単身世帯の資産分布と資産寿命の考え方について解説しました。
まとめると、
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「自分はどの層か」把握することが老後資金計画の第一歩 -
資産運用によって、長期的に見ればお金のもち具合が大きく変わることがある -
資産寿命の“見える化”は、不安の正体を知るきっかけになる
資産を「いくらあるか」ではなく、「何年もつか」で考えることが、安心につながる第一歩です。
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参考資料
村岸 理美