1.1 それでも年金額は実質目減り
一見すると、年金が増えるのは嬉しい知らせのように思えますが、実際は「実質的な目減り」ともいわれています。
その背景にあるのが、「マクロ経済スライド」という仕組みです。
マクロ経済スライドとは現役世代の負担を軽減するための制度で、賃金や物価上昇率などを踏まえたうえで年金の給付額を緩やかに調整するものです。
年金額の改定は「名目手取り賃金変動率」や「物価変動率」を参考に決定され、今年度は名目手取り賃金変動率2.3%を指標にして改定が行われました。
通常であれば年金額も2.3%上昇するはずですが、年金の制度を支える働き手が減少している現在、大幅に年金額を引き上げると年金制度を維持していくことが難しくなります。
そこで現役世代の負担を和らげるために導入されているのがマクロ経済スライドで、今年度は0.4%の調整率が発動し、結果として1.9%の引き上げが実施されているのです。
つまり、年金額は1.9%増加しているものの、物価や賃金の上昇には追いついておらず、実質は目減りしている状況だといえます。