2025年5月16日、内閣府から1〜3月期のGDP速報(1次速報)が発表されました。

今回の結果は「名目GDPがプラスでも、実質GDPはマイナス」というねじれ現象。

物価上昇によって経済規模は大きく見えますが、生活の中身は豊かになっていない状況が浮き彫りになっています。

特に家計の消費は「出費は増えたけど、買った量は増えていない」という結果に。

今後も物価上昇が続くなかで、どう暮らしを守るか?そのヒントを今回のGDP速報から探っていきましょう。

1. 【1次速報】GDPは実質▲0.2%のマイナス成長

2025年5月16日に内閣府は「2025年1〜3月期四半期別GDP速報 (1次速報値)」を発表しました。

まずGDP成長率(季節調整済前期比)をみていきましょう。

2025年1~3月期の実質GDPと名目GDPの成長率について

2025年1~3月期の実質GDPと名目GDPの成長率について

出所:内閣府「2025年1-3月期・1次速報(2025(令和7)年5月16日公表)」

  • 実質GDP成長率の前期比:▲0.2%
  • 名目GDP成長率の前期比:+ 0.8%

2025年1〜3月期の実質GDPと名目GDPの成長率について、3つのポイントにそって解説していきます。

1.1 実質GDPはマイナス成長

2025年1〜3月期の実質GDP成長率は前期比▲0.2%(年率換算▲0.7%)。

経済活動が鈍化しており、「景気の足踏み」が見られる結果となりました。

1.2 名目GDPはプラス成長

同期の名目GDP成長率は+ 0.8%(年率換算+ 3.1%)。

物価上昇によって、”見かけ上”の経済規模は拡大しています。

1.3 物価上昇が実質成長を相殺

名目で見ると成長している一方で、物価の上昇が消費や実質所得を圧迫し、実質ベースでは景気が伸び悩んでいる構図になっています。

「名目」と「実質」の違い

  • 名目:物価の変動を含めた数値(実際に支払われたお金の額)
    → 物価が上がれば、たとえモノの量が変わらなくても名目GDPは増えます。
  • 実質:物価の変動を除いた数値(“本当の中身”の成長)
    → モノの量やサービスの中身が増えなければ、実質GDPは伸びません。

つまり、名目は”見た目の金額”、実質は”中身の成長”ということになります。

名目はプラスで実質はマイナスという乖離が、「お金は使っているのに、生活は苦しい状況」という物価高と生活実感のギャップを表しています。