2. 老齢年金だけで生活費をカバーできる?

老齢年金だけで生活費をまかなえるかどうかは、年金受給額がいくらなのかを把握する必要があります。厚生労働省年金局が公表した「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、70歳代の平均受給額は以下の通りです。

70歳代の平均年金受給額

70歳代の平均年金受給額

出所:厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとに筆者作成

総務省統計局の「家計調査報告 家計収支 2023年(令和5年)平均結果の概要」によると、65歳以上の生活費の平均は、月額二人以上世帯で約25万円、単身世帯で約15万円です。

例えば、現在70歳で、現役時代は会社員だった夫と専業主婦だった妻が受け取る年金額は、20万2941円(14万4520円+5万8421円)なため、約5万円生活費が不足する計算になります。

また、夫婦共に自営業や個人事業主だった場合の受給額は、11万6842円(5万8421円×2)となるため、老齢年金以外でも老後資金を準備しておく必要性がより高くなります。

3. まとめにかえて

70歳代のシニア世帯のうち、二人以上世帯の約26%、単身世帯の約32%が、「貯蓄なし」または「100万円未満」となっています。平均的な年金受給額の世帯では、毎月の生活を老齢年金だけでカバーすることは難しいため、生活費の補填やまとまったお金が必要になったときに備えて、できるだけ貯蓄があると安心です。

現役世代の方は、子どもの教育費や住宅ローンの返済などで出費がかさむと思われますが、できるだけ早期から老後資金の準備を始められると良いでしょう。

※執筆時点の資料をもとに作成しています。

参考資料

木内 菜穂子