近年、定年退職後も仕事を続ける方が増えていますが、70歳代になると仕事を辞めて完全な年金生活に入る方も多いでしょう。老齢年金が主な収入減になると、生活費が不足したときやまとまったお金が必要になったとき、貯蓄がないと対応できないことがあります。
現在の70歳代のシニアのうち、「貯蓄ゼロ」または「100万円未満」の世帯はどのくらいいるのでしょうか?老齢年金だけで生活費をカバーできているのでしょうか?
この記事では、70歳代シニア世代の貯蓄状況について解説していきます。
1. 70歳代の「貯蓄ゼロ」・「100万円未満」世帯の割合
70歳代のシニア世帯で、ほとんど貯蓄がない世帯はどのくらいいるのでしょうか。J-FLECが公表している「家計の金融行動に関する世論調査(2024年)」 をもとに、二人以上世帯・単身世帯とに分けて、「貯蓄ゼロ」または「100万円未満」の世帯割合などを見ていきましょう。
なお、データ結果の中に、「平均値」と「中央値」という言葉が出てくるため、それぞれの意味を押さえておきましょう。
「平均値」とはデータの値の合計をデータの個数で割った値で、「中央値」とはデータの値を小さい順に並べたときに、ちょうど真ん中になる値のことをいいます。
平均値はデータの中に極端に大きなまたは小さな値があると、その影響を受けやすく実際の平均とはかけ離れることがあります。一方、中央値は影響を受けにくいため、実際の平均に近い数値となります。
そのため、実際の平均を知るには中央値の方が適しているとされています。
1.1 二人以上世帯の約26%が貯蓄ゼロ・100万円未満
70歳代の二人以上世帯で、貯蓄ゼロ世帯は20.8%、100万円未満世帯は5.4%です。合わせると、26.2%がほとんど貯蓄のない世帯となります。
70歳以上の二人以上世帯の平均貯蓄額は、平均値が1923万円で、中央値が800万円です。平均値は2000万円弱となっていますが、貯蓄額の高い世帯が値を引き上げていると考えられるため、実際の平均は中央値の800万円ほどと捉えるのが適しているでしょう。
では、貯蓄額ごとの世帯割合も確認しましょう。
金融資産なし世帯が約21%である一方、3000万円以上の世帯が約20%であり、十分な資産のある世帯とない世帯の差が大きくなっています。
「1000万円以上1500万円未満」の世帯が約10%と3番目に多くなっており、世帯によって貯蓄額はさまざまであることがわかります。