5. 公的年金以外の老後資金対策も検討しよう
年金だけに頼るのではなく、自助努力による資産形成も老後の安心につながります。近年は税制優遇のある私的年金制度が充実しており、将来に備える手段として注目されています。
5.1 公的年金だけでは不足する現実
老後の生活費を公的年金だけでまかなうのは難しいという声が少なくありません。
特に年金の支給額が減少傾向にある中で、物価上昇や医療費の増加を見据えた準備が必要です。そこで、私的年金制度を併用することで、不足分を補い、ゆとりある老後を目指す動きが広がっています。
5.2 自助努力を後押しする3つの制度
老後資金づくりに活用される代表的な私的制度として、「個人年金保険」「iDeCo(個人型確定拠出年金)」「NISA(少額投資非課税制度)」の3つがあります。
個人年金保険は、保険料を定期的に積み立て、将来年金として受け取る仕組み。契約内容により、一定の保障と節税効果が期待できます。
iDeCoは、自らが金融商品を選んで運用し、60歳以降に年金や一時金として受け取る制度で、掛金が全額所得控除の対象となるため、高い節税効果があります。
NISAは、株式や投資信託などの運用益が非課税となる制度で、少額から始められ、途中引き出しも可能。将来の資産形成に柔軟性をもたらします。
5.3 ライフプランに応じた組み合わせを
これらの制度はそれぞれ特徴が異なるため、ライフスタイルや資産状況に合わせて使い分けることが大切です。
制度を単体で使うよりも、複数を組み合わせることで、老後のリスク分散と資金の多角化が図れます。
公的年金を土台としつつ、自分に合った私的年金制度を取り入れた、計画的な資金準備が将来の安心につながります。
参考資料
- 厚生労働省「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」
- 日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
- 厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします」
和田 直子