4.4 生活費に占める食費の割合→エンゲル係数

先ほどの65歳以上の夫婦の家計簿にも登場した「エンゲル係数」。なぜ家計の状況を知る上で参考になるのか、改めて解説していきます。

エンゲル係数とは、家計の消費支出（いわゆる生活費）に占める食費の割合を示す指標のこと。計算式は非常にシンプルです。

エンゲル係数=食費÷消費支出×100(%)

例えば、ある月の消費支出が10万円で、そのうち食費が3万円だった場合、エンゲル係数は (3万円÷10万円)×100=30% となります。

一般的に、エンゲル係数が高いほど、家計に占める食費の割合が高く、生活水準が低い傾向にあります。これは、所得が低いほど、生活に必要な食費が支出全体に占める割合が大きくなるためです。

逆に、所得が高くなるにつれて、食費以外の教育費、娯楽費、交通費など、より多様な支出が増えるため、エンゲル係数は低くなる傾向があります。

ただし、年代や世帯構成によって食費の占める割合は自然と変わってくるため、注意が必要です。

例えば、子育て世帯では、成長期の子どものために食費がかさむ傾向があり、エンゲル係数が高くなることがあります。一方、高齢者の単身世帯では、食費の絶対額は少なくても、他の支出も抑えられている場合はエンゲル係数が高くなることもあります。

エンゲル係数が急に上昇した場合、食費が増えすぎているのか、あるいは他の支出を抑えざるを得ない状況になっているのかなど、支出について気にしてみましょう。

5. 【シニアのお金】貯蓄も健康も「今」からできる対策を

今回の記事では、70歳代の貯蓄額や年金受給額、そして実際の家計状況について、公的機関のデータを参考に解説しました。シニア世帯の貯蓄額には大きな格差があり、また多くの夫婦世帯が年金収入だけでは生活費を賄いきれていない現実が見えてきました。

健康寿命と平均寿命の間には、医療費や介護費などのお金がかかる期間があります。そのため、健康なうちに生活設計を考え、資産形成を進めることが重要です。今からでも、まずは家計を見直し、無理のない範囲で貯蓄や投資を始めてみましょう。

参考資料

足立 祐一