2025年5月16日、5年に1度の年金制度改革関連法案が国会へ提出される見通しです。少子高齢化が加速する中、年金制度はどのように変わっていくのでしょうか。

老後の生活について考えるとき、「厚生年金に加入していれば安心」といったイメージを持つ人は多いかもしれません。

ところが、実際に支給される年金額を見てみると、十分な金額を得ている人はそれほど多くなく、基礎年金と合わせても「月10万円前後が一般的」というデータも存在します。

では、現在のシニア世代はどれほどの厚生年金を受け取っているのでしょうか。

本記事では、現代のシニア世代が受け取っている年金の実態について詳しく紹介していきます。

働き方の違いによってどのように年金額が変わるのかについても、具体例を交えて紹介しているので、あわせて参考にしてください。

1. 老後に厚生年金を「受け取れる人」と「受け取れない人」の違いは?

まずは、老後に厚生年金を「もらえる人」と「もらえない人」の違いについて、あらためて確認しておきましょう。

日本の公的年金制度には「国民年金」と「厚生年金」の2つがあり、どちらを受け取れるかは現役時代の働き方によって異なります。

公的年金制度はいわゆる“2階建て”の仕組みになっており、土台となる1階部分が「国民年金」で、日本に住む20歳以上60歳未満のすべての人が原則加入することになっています。

一方、2階部分にあたる「厚生年金」は、国民年金に上乗せされる形で加入する制度で、主に会社員や公務員として働く人が対象となります。

つまり、厚生年金は現役時代に会社員や公務員として勤務していた人のみが受け取ることができますが、自営業者やフリーランス、専業主婦などは厚生年金は受け取れません。

  • 厚生年金を受け取れる人(国民年金と厚生年金の両方を受給):会社員・公務員など
  • 厚生年金を受け取れない人(国民年金のみを受給):自営業者・フリーランス・専業主婦(夫)など

では、厚生年金を受け取ることができる人(国民年金+厚生年金)と、厚生年金を受け取れない人(国民年金のみ)で、実際の年金額にはどれほどの違いが生じるのでしょうか。

1.1 公的年金(国民年金・厚生年金)の平均受給額はいくら?

次に、公的年金の平均受給額について、厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」を参考に確認していきます。

厚生年金を受け取ることができる人(国民年金+厚生年金)と、厚生年金を受け取れない人(国民年金のみ)の平均月額は以下のとおりです。

【厚生年金を受け取ることができる人(国民年金+厚生年金)】

  • 〈全体〉平均年金月額:14万6429円
  • 〈男性〉平均年金月額:16万6606円
  • 〈女性〉平均年金月額:10万7200円

【厚生年金を受け取れない人(国民年金のみ)】

  • 〈全体〉平均年金月額:5万7584円
  • 〈男性〉平均年金月額:5万9965円
  • 〈女性〉平均年金月額:5万5777円

国民年金は保険料が一律であるため、受給額に大きな個人差は見られず、国民年金のみ受給の場合は、全体・男女別ともに5万円台にとどまっています。

2025年度における国民年金の満額は「6万9308円」とされており、このことからも、国民年金だけで月10万円を超える年金収入を得るのは現実的に難しいでしょう。

一方で、厚生年金(国民年金+厚生年金)の平均受給額は全体で14万円台となっています。

しかし厚生年金は、加入時の給与に応じて保険料や将来の受給額が決まる仕組みであるため、国民年金に比べて金額のばらつきが大きく、なかには月10万円に届かないケースも少なくありません。

では、厚生年金のボリュームゾーンはいくらなのでしょうか。