年金「月額5万円」は生活保護の対象?受給要件を詳しく紐解く
生活保護を受けるには、以下の要件を満たす必要があります。
- 収入が最低生活費以下であること
- 資産があれば売却して生活に充てること
- 労働できるなら働いて収入を得ること
- 親族の扶養や援助を受けられるなら優先して受けること
- 年金や給付が受けられるなら優先して受けること
年金が月額5万円の場合、生活保護は受給できるのでしょうか。それぞれの要件とあわせて解説します。
収入要件
生活保護を受けるには、収入が「最低生活費」を下回っていなければなりません。最低生活費は、居住地域や世帯構成によって異なります。具体的には、1級地から3級地までの6段階に各自治体を区分しており、都市部ほど級地の数字が少なくなっています。
たとえば、1級地-1である東京23区に住む65歳の単身世帯の場合、最低生活費は以下のとおりです。
- 生活扶助:4万6460円×1+2万7790円+1500円+1630円=7万7380円
- 住宅扶助:5万3700円
- 合計:13万1080円
よって、収入が13万円1080円を下回った場合に、生活保護の対象となります。
1級地は賃金や物価が高い分最低生活費も高くなるため、年金が月額5万円でそれ以外に収入がない場合は生活保護の対象となるでしょう。
ただし、生活保護はあらゆる手段を尽くした結果の収入が最低生活費を下回った場合に保護が決定されます。次項からは、保護を受けるための要件4つを解説していきます。
資産の扱い
生活保護を受けるには、資産を売却して生活費に充てなければなりません。主な資産は以下のとおりです。
- 預貯金
- 不要な不動産
- 車
- 宝石類
持ち家、自家用車といった資産も売却が必要です。ローンが残っている場合は、売却してローンを返済した後の金額を生活費に充てましょう。ただし、車がないと通勤・通院・仕事ができない場合や、持ち家を居住用に使っている場合は、例外的に保有が認められます。
持ち家や資産を売却する必要があるかどうか確かめたいときは、自治体の福祉事務所に相談してみましょう。
能力の活用
働ける場合は、その能力に応じて労働して収入を得る必要があります。ただし、老後は健康面・体力面などから労働するのが難しい場合があるでしょう。あくまでも「働くことが可能な場合」に限定されているため、老後に生活保護を受ける際は健康面や体力面が考慮される可能性があります。
扶養や援助
親族の扶養に入る場合や資金援助を受けられる場合は、扶養や援助が優先されます。福祉事務所は、生活保護の申請者の親族に対して「扶養照会」をして、経済的支援ができるかどうか確認します。
親族は「経済援助ができない」といった正当な理由さえあれば扶養を断れるため、親族から援助を受けられない場合は、生活保護を受ける可能性が高まるでしょう。もし扶養を受けられる場合は、生活保護ではなく親族の扶養に入って生活をしていきます。
年金などの活用
年金や給付を受けられるのであれば、生活保護よりも年金などの給付が優先されます。「年金と預貯金だけでは必要最低限の生活ができない」といった場合は、生活保護に頼ることになるでしょう。
次章では、生活保護の申請手順について解説します。