3. 平均給与月額を国家公務員と比較
次に、国家公務員と地方公務員の給与を比較してみましょう。
小・中学校教育職
- 地方公務員平均給与月額:41万1965円
- 地方公務員平均給与月額(国比較ベース):39万6057円
高等学校教育職
- 地方公務員平均給与月額:43万3141円
- 地方公務員平均給与月額(国比較ベース):41万130円
警察職
- 地方公務員平均給与月額:47万5875円
- 地方公務員平均給与月額(国比較ベース):38万3957円
- 国家公務員平均給与月額:38万8332円
※国比較ベースは時間外勤務手当を除いたものとして集計。
※国家公務員の教育職は該当する職種がないため国比較ベースのみ紹介。
国比較ベースで見てみると、国家公務員のほうがわずかに金額が高くなっています。地方公務員の給与は、国家公務員や民間企業の給与などを考慮して決めています。よって、基本的にほぼ同水準になるように調整されているのです。
一方、地方公務員の実際の平均給与月額と国比較ベースを見比べると、金額の減少幅が大きくなっています。教育職、警察職ともに時間外勤務手当が給与金額を引き上げているといえるでしょう。
時間外勤務による手当が増加し、特殊勤務への手当が減少しているというのは、決して望ましいことではないでしょう。公務員の処遇改善は、喫緊の課題といえます。
最後に、参考として教育職・警察職と民間企業の平均給与月額を比較してみましょう。
4. 平均給与月額を民間企業と比較
民間企業の平均給与を月額換算した金額と、教育職・警察職の平均給与月額を比較していきます。
- 小・中学校教育職:41万1965円
- 高等学校教育職:43万3141円
- 警察職:47万5875円
- 民間企業:38万2917円
どの職種も民間企業の平均に比べると、3万円〜9万円ほど高くなっています。地方公務員の給与は、手当の充実度で民間企業の給与を上回っていると考えられるでしょう。
5. まとめ
教育職・警察職は公務員のなかでも身近な職種です。特殊な勤務が多い分、給料や手当が充実しています。一方で地域格差も小さくなく、勤務先によっては多くの給料・手当を受け取れるところもあれば、ほかの地域と比べて金額が低いところもあるようです。
給与の地域格差は官民問わず見られる傾向です。今後、国がどのような対策・政策を打つのか、注視する必要があるでしょう。
参考資料
- 人事院「国家公務員の紹介」
- 総務省「地方公務員の区分について」
- 総務省「令和6年地方公務員給与実態調査結果等の概要」
- 北海道教育委員会「教職員の給与のあらまし」
- 北海道警察「北海道地方警察職員の特殊勤務手当に関する条例」
- 総務省「令和5年 地方公務員給与の実態 第1表の2 団体区分別,職種別,都道府県別職員数及び平均基本給月額」
石上 ユウキ