年金はいくらもらえるのか疑問に思う方も多いでしょう。
厚生労働省の直近の統計調査によると、2023年度末時点での老齢年金の平均月額は、国民年金が5万7584円、厚生年金(国民年金を含む)が14万6429円でした。
しかし、年金には個人差があるものです。
国民年金には”満額”があるため「月額1万円未満~7万円以上」とばらつきは少なめですが、厚生年金は「月額1万円未満~30万円以上」と幅広く分布しています。
これは、厚生年金の受給額が「現役当時の報酬や加入年数」によって決まるためです。
それでも目安を知りたいと思う方は多いでしょう。
厚生労働省が公表した2025年度の年金例を用いてシミュレーションしたところ、次回6月13日(金)の支給額は、標準的な夫婦世帯で「約46万円」となります。
厚生労働省が定義する「標準的な夫婦世帯」について確認していきましょう。
1. 日本の公的年金制度の仕組み
まずは、日本の公的年金の仕組みをおさらいする必要があります。
日本の公的年金制度は、「2階建て構造」と呼ばれる仕組みで成り立っています。
1.1 1階部分:国民年金
加入対象
- 原則として日本に住む20歳から60歳未満のすべての人
年金保険料
- 全員定額、ただし年度ごとに改定される(※1)
老後の受給額
- 保険料を全期間(480カ月)納付した場合、65歳以降で満額(※2)を受給できる。未納月数に応じて満額から差し引かれる
※1 国民年金保険料:2025年度月額は1万7510円
※2 国民年金(老齢基礎年金)の満額:2025年度月額は6万9308円
1.2 2階部分:厚生年金
加入対象
- 会社員や公務員、特定適用事業所(※3)にてパートで働き一定要件を満たす人が、国民年金に上乗せで加入
年金保険料
- 収入に応じて(上限あり)決定される(※4)
老後の受給額
- 加入期間や納付済保険料により、個人差が出る
国民年金と厚生年金は、加入対象や年金保険料の決め方、受給額の計算方法などが異なります。老後の年金額に個人差が出るのは、このためです。
なお、公的年金額は物価や現役世代の賃金の動向を踏まえて、毎年度改定されます。
※3 特定適用事業所:1年のうち6カ月間以上、適用事業所の厚生年金保険の被保険者(短時間労働者は含まない、共済組合員を含む)の総数が51人以上となることが見込まれる企業など
※4 厚生年金の保険料額:標準報酬月額(上限65万円)、標準賞与額(上限150万円)に保険料率をかけて計算されます。