5. 「年金にゆとりがない」と感じるシニア
金融経済教育推進機構(J-FLEC)の「家計の金融行動に関する世論調査 2024」によると、二人以上世帯のうち、60歳代の32.6%、70歳代の30.6%が「年金だけでは日常生活費をまかなうのが難しい」と回答したことがわかりました。
この結果は、多くの高齢者が年金だけでは生活費を賄うのが難しいという現実を示しており、今後の生活設計に対する不安を反映しています。
年金ではゆとりがないと考える世帯が「不安を感じる理由」のトップは、「物価上昇で支出が増えると見込んでいるから」で、60歳代では63.3%、70歳代では62.8%に達しています。
また、厚生労働省「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」では、公的年金・恩給だけで100%生活できている高齢者世帯は41.7%であると示しています。
約6割の高齢者世帯が、年金収入だけで生活できていないことになります。
物価の上昇が続く中、家計が圧迫されるとともに、健康や介護に対する不安を抱えながら生活しているシニア世帯の存在が浮き彫りになっています。
6. まとめにかえて
2025年度に増額を控える年金。初回支給日は6月13日です。
標準的な夫婦世帯は、この日の年金支給額が約46万円となりますが、月額では約23万円となります。一人あたりに換算するとさらに少なくなります。
そもそもこれは厚生労働省が「標準的な夫婦世帯」とした夫婦のモデルケースであり、個人差が大きいことにも注意が必要です。
年金だけで生活できる人ばかりでないことを知り、それぞれの老後対策について考えていきましょう。
参考資料
- 日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
- 日本年金機構「令和6年4月分からの年金額等について」
- 厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
- 日本年金機構「令和7年4月分からの年金額等について」
- 厚生労働省「年金生活者支援給付金制度について」
- 金融経済教育推進機構(J-FLEC)「家計の金融行動に関する世論調査 2024年」
太田 彩子