総務省が2025年4月18日に発表した消費者物価指数によると、2024年度の消費者物価総合指数は109.5で前年対比3.0%の上昇となりました。
物価上昇率が3%を超えるのは3年連続となり、私たちの暮らしに与える影響は深刻化しています。
これからセカンドライフを迎える50歳代にとっては、「このままだと老後が不安」と感じることも少なくないでしょう。
安心して老後を迎えるためには、どのようなことに取り組めばよいのでしょうか。
この記事では、これから老後を迎える50歳代に向けて、今から取り組んでおきたい老後対策を紹介します。
1. 老後資金2000万円を達成しているのは約3割
金融経済教育推進機構の調査によると、60歳代の2人以上世帯における金融資産保有額の分布は下記の通りです。
※貯蓄額には、日常的な出し入れ・引落しに備えている普通預金残高は含まれません。
- 平均:2033万円
- 中央値:650万円
1.1 金融資産保有額ごとの分布
- 金融資産非保有:20.5%
- 100万円未満:6.5%
- 100~200万円未満: 5.3%
- 200~300万円未満: 3.7%
- 300~400万円未満:3.1%
- 400~500万円未満:3.1%
- 500~700万円未満:6.3%
- 700~1000万円未満:5.3%
- 1000~1500万円未満:8.9%
- 1500~2000万円未満:5.8%
- 2000~3000万円未満:8.0%
- 3000万円以上:20.0%
- 無回答:3.6%
一般的に、夫婦2人で老後を迎える場合に必要な老後資金の目安は2000万円といわれていますが、上記調査結果を見ると2000万円以上の貯蓄がある世帯は全体の28%となっています。
反対に、全く金融資産を持たない世帯は全体の20.5%で、老後資金を蓄えている世帯よりも多い状況です。
老後資金を十分に確保できていない世帯が多いなかで、これからどのように備えていけばよいのか不安を抱えている方も少なくありません。
続いての章で、今から取り組める老後対策を紹介していきましょう。
2. 50歳代からの老後対策(1)収入が減る前に支出を見直す
一般的に、50歳代は収入のピークを迎える時期でもあります。
定年退職を迎えて収入が減少する前に、今のうちから支出の見直しを行っておくことが大切です。
まずは、家計の収支を正しく把握し、削減できる支出はないかチェックしてみましょう。
たとえば、保険料は最も見直しておきたいポイントです。
現役時代は家族を支えるために手厚い保険内容に加入している方も多いですが、セカンドライフで必要な保障内容を見直すことで保険料を抑えられる可能性があります。
そのほかに、光熱費やサブスクリプションの利用料金などの見直しも有効です。今のうちから不要な支出を削減しておくことで、将来に向けて安定した家計を築けるでしょう。
3. 50歳代からの老後対策(2)老後の収入源を作っておく
人生100年時代の現在、老後の収入源を年金だけに頼ることに不安を感じる方も少なくありません。
老後も健全な収支を保つためには、今のうちから老後の収入源を作っておくことが重要です。
たとえば、代表的な収入源としてiDeCoや個人年金保険などの私的年金が挙げられます。
50歳代になると「今から加入しても遅いのでは?」と思うかもしれませんが、iDeCoは受給開始年齢を60~75歳の間で選ぶことができます。
掛金の拠出は65歳までできますので、決して50歳代からの加入でも遅すぎることはないでしょう。
また、定年退職後のキャリアを考えておくことも欠かせません。
継続雇用制度の活用や現役時代のスキルや経験を活かした講師業など、「何歳まで働くのか」、「どのような働き方を選ぶのか」といったことを今のうちから具体的に考えておきましょう。
4. 50歳代からの老後対策(3)健康な体作りに取り組む
老後対策と聞くとお金のことばかりを考えてしまいがちですが、健康な体を保つことも重要なポイントです。
老後生活では、医療や介護による支出が大きな負担となるケースも珍しくありません。
総務省の調査によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯における保健医療の支出は毎月1万8383円となっており、支出全体の7.2%を占める結果となっています。
今のうちから運動の習慣を身につけたり、健康的な食生活を心がけたりすることで、将来の医療費負担の軽減につなげられるでしょう。
5. 老後対策は計画的に取り組もう
豊かな老後を送るためには、50歳代の今のうちから計画的に対策を講じておくことが大切です。まずは、将来に向けたライフプランを立て、そのために必要な資金や備えを明確にすることから始めてみましょう。
5.1 【編集部よりご参考】60歳~90歳以上「令和の老齢年金世代」国民年金・厚生年金の平均はいくら?
令和の老齢年金世代はどの程度の年金を受け取れているのでしょうか。
厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」から、国民年金と厚生年金(※1)の「年齢階級別(5歳刻み)の平均額」と「全受給権者(60歳~90歳以上)の平均年金月額」を見ていきます。
※1 厚生年金の被保険者は厚生年金の被保険者は第1号~第4号に区分されており、ここでは民間企業などに勤めていた人が受け取る「厚生年金保険(第1号)」(以下記事内では「厚生年金」と表記)の年金月額を紹介します。
国民年金
- 60~64歳:4万4836円
- 65~69歳:5万9331円
- 70~74歳:5万8421円
- 75~79歳:5万7580円
- 80~84歳:5万7045円
- 85~89歳:5万7336円
- 90歳以上:5万3621円
厚生年金
※国民年金部分を含む
- 60~64歳:7万5945円
- 65~69歳:14万7428円
- 70~74歳:14万4520円
- 75~79歳:14万7936円
- 80~84歳:15万5635円
- 85~89歳:16万2348円
- 90歳以上:16万721円
参考資料
- 総務省「2020年基準消費者物価指数」
- 金融経済教育推進機構「家計の金融行動に関する世論調査2024年」
- 総務省「家計調査報告(家計収支編)2024年(令和6年)平均結果の概要」
- iDeCo公式サイト「2022年・2024年の制度改正の概要」
- 厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
椿 慧理