公的年金の金額は現役世代の賃金や物価を踏まえ、年度ごとに見直しがおこなわれるルールです。2025年度(4月分から)は前年度より1.9%の引き上げとなり、下記の年金例が提示されています。
- 国民年金(老齢基礎年金(満額)):6万9308円(1人分※1)
- 厚生年金:23万2784円(夫婦2人分※2)
ただし上記はあくまでも「年金例」。実際に支給される年金額は、現役時代の年金加入状況により世帯差・個人差が出ます。
また、3年連続のプラス改定にはなったものの、マクロ経済スライド(※3)の発動により、実質的には目減りしています。
止まらぬ物価上昇が、世代を超えた多くの世帯の家計を圧迫し続けるこんにち。
リタイア後のシニア世帯であれば、家計収支をていねいに把握し、限られた貯蓄を計画的に取り崩していくことが大切です。とはいえ、予期せぬタイミングで医療費や介護費用など「削れない出費」が発生することもあるでしょう。
今回は、65歳以上のリタイア世帯の家計収支や貯蓄事情を深掘りしたあと、令和の退職金や年金事情にも触れていきます。
※1 昭和31年4月1日以前生まれの方の老齢基礎年金(満額1人分)は、月額6万9108円(対前年度比+1300円)です。
※2 男性の平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)45万5000円)で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準です。
※3 「公的年金被保険者(年金保険料を払う現役世代の数)の変動」と「平均余命の伸び」に基づいて設定される「スライド調整率」を用いて、その分を賃金と物価の変動がプラスとなる場合に改定率から控除するしくみ