6. 《押さえておこう》公的年金(国民年金・厚生年金)の仕組み
日本の公的年金制度は、「国民年金」と「厚生年金」の二つの柱で成り立っています。
6.1 国民年金(1階部分)とは?
- 加入対象:日本に住む20歳以上から60歳未満の全ての人が原則加入
- 年金保険料:全員一律(※1)
- 老後の受給額:40年間欠かさず納めれば満額(※2)
- 被保険者:第1号~第3号に分かれる(※3)
※1 国民年金保険料の月額:2025年度 1万7510円
※2 国民年金(老齢基礎年金)の月額:2025年度 6万9308円
※3 第1号被保険者は農業者・自営業者・学生・無職の人など、第2号被保険者は厚生年金の加入者、第3号被保険者は、第2号被保険者に扶養されている配偶者
6.2 厚生年金(2階部分)とは?
- 加入対象:会社員や公務員、またパート・アルバイトで特定適用事業所(※4)に働き一定要件を満たした方が、国民年金に上乗せで加入
- 年金保険料:収入に応じて決まり(※5)、給与からの天引きで納付
- 老後の受給額:加入期間や納めた保険料により個人差あり
- 被保険者:第1号~第4号に分かれる(※6)
※4 1年のうち6カ月間以上、適用事業所の厚生年金保険の被保険者(短時間労働者は含まない、共済組合員を含む)の総数が51人以上となることが見込まれる企業など
※5 保険料額は標準報酬月額(上限65万円)、標準賞与額(上限150万円)に保険料率をかけて計算されます。
※6 第1号は、第2号~第4号以外の、民間の事業所に使用される人、第2号は国家公務員共済組合の組合員、第3号は地方公務員共済組合の組合員、第4号は私立学校教職員共済制度の加入者
なお最近では、公的年金だけでは老後の生活が不安ということで、「個人年金保険」や「iDeCo(個人型確定拠出年金)」といった、私的年金(3階部分)を準備する人も増えています。
7. まとめにかえて
年金生活が始まると、自分が受け取る年金額に応じて生活設計を見直すことが求められます。ゆとりある老後を実現するためには、現役時代からの計画的な資金準備が欠かせません。
コツコツと貯蓄を続けることも大切ですが、物価上昇の影響を考えると、資産の置き方にも工夫が必要です。
たとえば、NISAやiDeCoといった税制優遇制度を活用しながら積立投資をおこなうことも、将来の資産形成に役立つ選択肢のひとつです。
ただし、資産運用には元本割れなどのリスクも伴うため、制度の仕組みやメリット・デメリットをよく理解したうえで、自分に合った方法を選ぶことが大切です。
参考資料
- 厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします」
- 厚生労働省「いっしょに検証!公的年金 公的年金の仕組み」
- 厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」
- 厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「年金はいつ支払われますか。」
- 株式会社帝国データバンク「「食品主要195社」価格改定動向調査 ― 2025年4月」
川勝 隆登