老後は、多くの人が公的年金(国民年金・厚生年金)を収入の柱として生活していますが、この年金からも国民健康保険料(75歳以上は後期高齢者医療保険料)、介護保険料が引かれます。
厚生労働省年金局の「厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、2023年度末現在の老齢年金の平均月額は、国民年金が5万7584円、厚生年金(国民年金を含む)が14万6429円でした。
ここから税金や保険料が引かれるのです。老後に向けた資産形成は、社会保険料の負担も考慮して進めていきましょう。
本記事では、75歳から加入する後期高齢者医療制度について、保険料負担がどのくらいかを確認していきます。
1. 【75歳からの公的医療保険】後期高齢者医療制度とは?
日本では、すべての人が何らかの公的医療保険に加入する「国民皆保険制度」が採用されています。働き方や年齢によって、加入する制度が異なるのが特徴です。
たとえば、会社員は「協会けんぽ」や「健康保険組合」、公務員や教職員は「共済組合」、フリーランスや自営業の人は「国民健康保険」に加入するのが一般的です。
では、一定の年齢を超えた高齢者はどうなるのでしょうか?その答えが、「後期高齢者医療制度」です。
この制度は、公的医療保険のひとつで、基本的に75歳以上の人は自動的にこの制度へ移行する仕組みとなっています。これまでどの保険に加入していたかにかかわらず、年齢到達によって強制的に適用される点が大きな特徴です。
また、75歳未満であっても、一定の障害があると認定された65歳以上の人は、本人の希望により加入することも可能です。
【障害認定される要件】
- 障害年金1級または2級
- 身体障害者手帳1級、2級、3級または「4級の一部」
- 精神障害者保健福祉手帳1級または2級
- 東京都愛の手帳(療育手帳)1度または2度
※身体障害者手帳の「4級の一部」とは、「下肢障害4級1号(両下肢のすべての指を欠くもの)」、「下肢障害4級3号(一下肢を下腿の2分の1以上で欠くもの)」、「下肢障害4級4号(一下肢の機能の著しい障害)」、「音声・言語機能障害」が該当します。
この制度の管理・運営を担うのは、「後期高齢者医療広域連合」と呼ばれる各都道府県の組織です。日本全国のすべての市町村がこの広域連合に参加しており、連携して制度を維持しています。
年齢や障害の有無によって保険の仕組みが変わることを理解しておくと、将来の備えにも役立ちます。