日本経済研究センターが2025年4月8日に公表した「2月の景気後退確率」によると、およそ半年後に景気後退入りする確率は55.9%となることがわかりました。
景気後退確率とは、景気動向指数の先行指数をもとに算出され、数か月先の景気後退の可能性を示しています。
景気後退の警戒水準である67%は下回っているものの、物価の高騰は続いていることから経済は不安定な状態となっています。
こうした状況下で、「資産を持っていても実質的な価値が減ってしまうのでは」と不安を感じる方もいるかもしれません。しかし実際には、日本国内では着実に富裕層の数が増えているという現実があります。
なぜこのような環境のなかで富裕層が増えているのでしょうか。今回は、データをもとにその背景を探るとともに、筆者がこれまで富裕層の方々と接してきた中で感じた、彼らが大事にしていることについてもお伝えしていきます。
1. 日本に「富裕層」はどのくらいいるのか、「富裕層とは何か」を知る
まずは、野村総合研究所(NRI)が2023年3月に発表した資料をもとに、「富裕層とは何か」について定義をみていきましょう。
1.1 純金融資産の計算式
世帯の保有する金融資産(預貯金・株式・債券・投資信託・保険など)の合計額からローンなど負債を差し引くと「純金融資産保有額」を割り出すことができます。
純金融資産=金融資産(預貯金・株式・債券・投資信託・保険など合計金額)ー負債(ローンなどの合計金額)
この純金融資産保有額をベースに総世帯を5段階にランク付けしたものがマーケットの分類になります。5つの階層の定義と、各層における世帯数・保有資産は以下のとおりです。