公的年金の年金額は、物価や現役世代の賃金を踏まえて毎年見直されており、2025年度分は前年度から1.9%の増額改定となりました。

あわせて、年金受給者のうち一定の所得要件を満たす人を対象とする「年金生活者支援給付金」は、2.7%の引き上げが決まっています。

なお、これらの増額率が適用されるのは、いずれも4月分(6月支給)の年金および給付金からです。

今回はシニア世代の年金事情に触れたあと、年金生活者支援給付金制度の支給要件や支給額について確認していきます。

1. 【2025年度】年金額は1.9%増えるけれど《実質目減り》物価高には勝てず

2025年度(令和7年度)の年金額は、前年度より1.9%増えます。

3年連続のプラス改定にはなりましたが、「マクロ経済スライド(※)」によって物価上昇率を下回る改定率となっており、実質的には年金額は目減りしています。物価上昇に年金額が追い付けていないのです。

※マクロ経済スライドとは:「公的年金被保険者(年金保険料を払う現役世代の数)の変動」と「平均余命の伸び」に基づいて設定される「スライド調整率」を用いて、その分を賃金と物価の変動がプラスとなる場合に改定率から控除するしくみ