ファイナンシャルアドバイザーである筆者のもとには、老後に対する資金不足を懸念してご相談にくる方が増えています。
昨今続く物価高の影響もあるかと思いますが、「老後資金をどれくらい準備すればいいかわからない」という点に不安を感じる方が圧倒的に多い印象です。
明確に「いくら準備すれば大丈夫」という金額はありません。
何歳まで生きるのか、毎月の生活費はどれくらいか、年金はどれくらい受給できるのか、など考えなければいけないポイントは多岐にわたります。
とはいえ、みんなはどれくらい貯蓄をしているのか気になるもの。参考までに、いまの50歳代、60歳代、70歳代の貯蓄額を見ていきましょう。
1. 【50歳代・60歳代・70歳代】貯蓄2000万円以上の割合はどのくらい?
まずは、J-FREC 金融経済教育推進機構の「家計の金融行動に関する世論調査 二人以上世帯(2024年)」を参考に、50~70歳代で貯蓄が2000万円以上の世帯が占める割合とその平均・中央値について確認してみましょう。
※なお、貯蓄額には日常的な支出や引き落としに備えている普通預金の残高は含まれていません。
- 50歳代:17%
- 60歳代:28%
- 70歳代:27.9%
50歳代では17%の世帯が2000万円以上の貯蓄を保有していますが、60歳代と70歳代ではその割合が約30%に達し、約3世帯に1世帯が2000万円以上の金融資産を所有していることが分かります。
また、これらの世帯の平均値と中央値は以下のようになっています。
1.1 50歳代・60歳代・70歳代の平均貯蓄額(平均値・中央値)はいくら?
- 50歳代 1168万円 ・250万円
- 60歳代 2033万円 ・650万円
- 70歳代 1923万円 ・800万円
60~70歳代の世帯の平均貯蓄額は約2000万円ですが、中央値は1000万円未満となっており、平均値と中央値の差が大きいことが分かります。
これは、2000万円以上の貯蓄を持つ世帯は少数派であり、多くの世帯はその金額に達していないことを示しています。