4月から年金額が改定されました。2025年度の基礎年金は2024年度と比較して1308円増加し、月額6万9308円となります。改定された金額で支給が始まるのは6月からの予定です。

年金額にあわせて、障害給付金や児童手当などの給付金も金額が増えています。生活に困窮する老齢年金受給者に支給される「老齢年金生活者支援給付金」もそのひとつです。

老齢年金生活者支援給付金とは、どのような人が対象となり、平均支給額はいくらなのでしょうか。この記事では、老齢年金生活者支援給付金の支給対象者や平均支給額を解説します。

1. 老齢年金生活者支援給付金とは

老齢年金生活者支援給付金とは、公的年金や所得が一定額以下の年金受給者を支援する「年金生活者支援給付金」のひとつです。年金生活者支援給付金には、障害年金生活者支援給付金と遺族年金生活者支援給付金、そして老齢年金生活者支援給付金があります。

老齢年金生活者支援給付金の支給対象者と支給額を見ていきましょう。

1.1 支給対象者

老齢年金生活者支援給付金の支給対象者は、以下のとおりです。

老齢年金生活者支援給付金の支給対象者

老齢年金生活者支援給付金の支給対象者

出所:日本年金機構「老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の概要」をもとに筆者作成

給付要件

  • 65歳以上の老齢基礎年金の受給者である。
  • 世帯全員が市町村民税非課税である。
  • 前年の公的年金等の収入金額(※1)とその他の所得との合計額が昭和31年4月2日以後生まれの人は78万9300円以下、昭和31年4月1日以前生まれの人は78万7700円以下(※2)である。
    ※1障害年金・遺族年金などの非課税収入を除く。
    ※2昭和31年4月2日以後生まれで78万9300円超〜88万9300円以下である人や昭和31年4月1日以前生まれで78万7700円超〜88万7700円以下である人には、「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給される。

老齢年金を受給しているほか、住民税が非課税であることや、所得が78万9300円もしくは78万7700円以下であることが支給要件となっています。2024年度の基礎年金の受給額は月額6万8000円、年間81万6000円ですから、厚生年金などを受け取れず、基礎年金も満額受給でない人は、支給対象となる可能性があるでしょう。

所得金額が78万9300円超〜88万9300円以下もしくは78万7700円超〜88万7700円以下の人には、補足的老齢年金生活者支援給付金が支給されます。

1.2 支給額

2024年度の支給額は、以下のとおりです。

老齢年金生活者支援給付金の支給額

老齢年金生活者支援給付金の支給額

出所:日本年金機構「老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の概要」をもとに筆者作成

老齢年金生活者支援給付金

  • 以下の計算式で算出した金額の合計額
    ・保険料納付済期間に基づく額(月額) = 5310円 × 保険料納付済期間 / 被保険者月数480月
    ・保険料免除期間に基づく額(月額)= 1万1333円 × 保険料免除期間/ 被保険者月数480月

補足的老齢年金生活者支援給付金

  • 5310円×保険料納付済期間 / 被保険者月数480月×調整支給率(※)
    ※調整支給率は以下のとおり
    ・昭和31年4月2日以後生まれ(88万9300円-前年の年金収入金額とその他の所得の合計)÷10万円
    ・昭和31年4月1日以前生まれ(88万7700円-前年の年金収入金額とその他の所得の合計)÷10万円

老齢年金生活者支援給付金は、基準額である5310円に、基礎年金の総加入月数480月のうちの保険料納付済月数の割合を掛けて算出します。保険料の免除期間がある場合は、基準額1万1333円に総加入月数480月のうちの保険料免除月数の割合を掛けます。

補足的老齢年金生活者支援給付金は、基準額5310円に、基礎年金の総加入月数480月のうちの保険料納付済月数の割合と調整支給率を掛けて算出します。調整支給率が掛けられる分、支給額は老齢年金生活者支援給付金よりも低めです。

なお、2025年度の基準額は以下のように改定されています。

老齢年金生活者支援給付金の給付基準額《2024年度/2025年度》

老齢年金生活者支援給付金の給付基準額《2024年度/2025年度》

出所:厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします」をもとに筆者作成

  • 2024年度:5310円
  • 2025年度:5450円(前年度+140円)

2024年度から140円増額されています。保険料免除期間の基準額は、のちほど公表される見通しです。

次章では、老齢年金生活者支援給付金の平均支給額を見ていきましょう。