低金利が続き、なかなか預貯金だけでは貯蓄が増えない昨今、それ以外の金融商品を検討してみることも必要ではないでしょうか。今回はその中から「投資信託」について、初心者が押さえておくべきポイントをまとめました。投資信託にはどんなメリット・デメリットがあり、何に注意して投資するべきものかなど、まだよく知らないという方はぜひ参考にしてください。
そもそも投資信託ってどういうもの?
多くの投資家からお金を集め、資産運用の専門家が株や債券等に投資をして運用する金融商品が投資信託です。株だけを投資信託に組み込むものもありますし、それ以外の様々な資産を組み込んで運用する投資信託もあります。
では、投資信託にはどのようなメリット、デメリットがあるのでしょうか。
メリット
1. プロによる資産運用であること
投資信託では、1)投資の専門家が、2)個人投資家では手に入れることが難しい情報を分析しながら、3)定められた投資方針に則った資産運用をしてくれます。また、株式市場などの相場を見ながら運用をしてくれるので、個別銘柄の投資判断をするために十分な時間を割けない個人の方にも便利な金融商品です。
2. 個人投資家が扱い難い銘柄も組み込まれていること
外国株式や新興国関連の銘柄は一般の投資家向けの情報が乏しく、手数料も高い傾向があるため、なかなか扱いづらいものです。また、そもそも日本の個人投資家がアクセスができない金融商品もあります。投資信託ではそういった資産が組み込まれている商品もあるので、個人投資家にとっては選択の幅が広がります。
3. リスクが分散されること
投資信託では原則として分散投資がされるので、単一の銘柄に投資したときよりもリスクを抑えることができます。
デメリット
1. コストがかかること
投資信託では買付手数料や信託報酬などのコストが発生します。ただし、最近では「ノーロード」とよばれる購入(買付)手数料が無料の投資信託も多くなってきています。また、「インデックスファンド」を中心に信託報酬の値下げ競争もみられるので、個人投資家にとってはこれまで以上に投資がしやすくなってきています。
2. プロでも失敗する場合があること
投資信託を運用するのがプロだといっても、必ず利益を出せるわけではありません。時には元本割れする場合もあります。投資信託購入後も運用会社に任せっきりにせず、定期的に運用状況をチェックすることが必要です。
3. 値動きが小さいので個別株等と比較して関心を失いやすいこと
投資信託は分散投資がされ、また「バランスファンド」であれば様々な資産に投資がされているため、個別株を1、2銘柄保有するのとは異なり、値動きが小さくなるように設計されています。その裏返しとして、大きなリターンを得づらいという側面もあります。すると投資に対する熱が冷めやすく、資産運用に対する意欲が失われることもあるでしょう。
これだけは押さえておきたいNGポイント
世の中にはたくさんの投資信託があり、目移りしてしまう人も多いはずです。ここでは投資信託を選ぶときに避けたい3つのNGポイントを紹介します。
人気(ランキング)にこだわること
ネットや投資関連の雑誌・書籍には、「投資信託人気ランキング」と銘打ったものが日常的に掲載されています。もちろん優れた商品もあるのですが、中には証券会社の広告戦略が成功して一時的に多く売れたものや、何かの拍子にランキングに載ったことが呼び水となって売れ続けているだけのものもあります。人気がある投資信託と実際に利益が出る投資信託は必ずしも一致するとは限らないと思ってください。
分配金にこだわること
投資信託には毎月分配金が口座に振り込まれるものもあり、一定の人気を博しています。しかし、本当に効率的な投資とは、得られた利益を分配金として配当するのではなく、再投資に回して資産を増やすことを目的とするものです。実際にプロの投資家でも、投資機会を探すのに四苦八苦しています。利益を確定したものの、次の投資機会に巡り合うのもまた一苦労ということもよくあります。
分配金を毎月得られるタイプの投資信託は、分配金に税金が課されるケースがあることを考えると、効率的な資産運用と言えるか疑問が残ります。分配金にこだわらず、トータルでどのくらいのリターンが得られたかを、儲かったかどうかの基準にしてみるのがよいのではないでしょうか。
過去の運用成績にこだわること
過去の運用成績が良いとつい注目してしまいがちです。ただ、過去は必ずしも未来を占うものではありません。また、過去に継続的に好成績を維持している投資信託でも、資金を運用するファンドマネージャーが入れ替わってしまう可能性もあることには注意が必要です。
投資信託で大損しないための秘訣
誰でも大損は避けたいものです。次に大きな損を防ぐポイントを紹介します。
コストにこだわる
投資信託には購入(買付)手数料や信託報酬等が必要です。これらをできるだけ抑えることで、当然ですが、確実に手元から出ていく費用を少なくすることができます。ただ、先述のようにノーロードファンドという購入(買付)手数料無料の投資信託もあるので、たとえばインデックスファンドであれば、同じような投資対象の投資信託の場合、費用面でよりお得な投資信託を選ぶことをおすすめします。
投資対象の選択を慎重にする
馴染みが多いこともあり、「なんとなく日本株かな」と日本株を投資対象とする投資信託を選ぶケースが多いようです。しかし日本株にばかり目を向けてしまうと、海外株の値上がりを見逃してしまう可能性があります。様々な資産に目を向けて、投資先を慎重に選んでください。
現金・預金を確保しておく
相場の大変動で損をする人は多いですが、変化は大儲けのチャンスでもあります。そういったときに現金がないと、折角のチャンスを取り逃がしてしまうかもしれません。ある程度の現金や預金は常に確保しておきましょう。
まとめにかえて
投資信託にはプロが運用を行ってくれる安心感や、個人投資家がアクセスしにくい金融商品に投資することができるなどのメリットがありますが、コストがかかる点なども見逃せません。こうした点を踏まえて、どのような時間軸で、どのような金融商品を組み合わせていくかについて考えてみることが大切です。
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LIMO編集部