3. 「ゆとりある生活」に近づくために、現在の消費支出を確認
老後に必要な貯蓄額は、月々の生活費に大きく影響されます。
総務省が公表した「家計調査報告(家計収支編)2024年」によると、65歳以上の無職夫婦世帯の平均的な消費支出は月額約25万円です。
これはあくまで「最低限の生活」を維持するための金額であり、加齢に伴う医療費や介護費の増加を考慮する必要があります。
また、旅行や趣味、交際費を含む「豊かな生活」を望む場合や、税金や社会保険料といった非消費支出を含めると、必要な生活費はもっと高額にのぼるでしょう。
では、理想のゆとりある生活のためにはどのくらいの金額が必要なのでしょうか?次の章で詳しく見ていきたいと思います。
4. 理想の「ゆとりある生活」に必要な金額とは?
ゆとりある生活を送るには、夫婦で平均月額37万9000円が理想とされています(出所:生命保険文化センター「令和4年度 生活保障に関する調査」)。
厚生年金を受給する夫と、国民年金を受給する妻のケースのひと月あたりの合計受給額は、前述の平均受給月額より計算して平均約22万円となります。(男性平均厚生年金受給月額:16万6606円+女性平均国民年金受給月額:5万5777円)
ゆとりある生活に必要な金額には月約16万円不足し、老後25年では約4800万円ものお金が不足することとなります。
もちろん世帯ごとに必要な支出額は異なりますが、不足分を補うための貯蓄、支出を減らす工夫が不可欠です。
老後の資金計画に不安がある場合は、現状の収支を見直し、どのように生活費を補うかを具体的に検討することが求められます。
参考資料
- J-FREC 金融経済教育推進機構「家計の金融行動に関する世論調査(2024年)」
- 厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 生命保険文化センター「令和4年度 生活保障に関する調査」
和田 直子