8月も終わり、ちょうど季節は秋へと移り変わる時期が近づいてきました。
9月から様々な商品が値上げとなり、家計に頭を悩ませている人もいるのではないでしょうか。目先はもちろん、将来のお金が気にかかる人もいるでしょう。
そこで本記事では、公的年金制度の仕組みや平均受給額、さらに第3号被保険者の要件なども解説。老後の生活設計の参考にしていただけます。
秋の夜長に、自分の将来や老後資金について考えてみませんか。
1. 【厚生年金・国民年金】公的年金制度の基本
公的年金のしくみをおさらいしましょう。
日本の公的年金は「2階建て構造」と表現されます。これは、1階部分にあたる「国民年金」と2階部分にあたる「厚生年金」から成り立つためです。
国民年金の加入対象は、原則として、国内在住の20歳以上60歳未満の全ての人。年金保険料(※1)は全員一律です。一方、厚生年金は会社員や公務員などが国民年金に上乗せして加入し、収入に応じた年金保険料(※2)を納めます。
国民年金は、年金保険料を全期間(480月)納付すると、65歳で満額(※3)を受給できます。未納期間に応じて満額から差し引かれるルールです。
※1 国民年金保険料:2025年度は月額1万7510円
※2 保険料額は標準報酬月額(上限65万円)、標準賞与額(上限150万円)に保険料率をかけて計算される
※3 国民年金の満額:2025年度は月額6万9308円
2. 【2025年度改定】厚生年金・国民年金は「1.9%」増額に
公的年金額は、物価や現役世代の賃金の動きを踏まえて、年度ごとに見直しがおこなわれます。令和7年(2025年)度の年金額例は、前年度より1.9%の引き上げとなりました。
2.1 2025年度の国民年金と厚生年金の年金額例
- 国民年金(老齢基礎年金(満額)):6万9308円(+1308円)
- 厚生年金:23万2784円(夫婦2人分)(+4412円)
※昭和31年4月1日以前生まれの方の老齢基礎年金の満額は月額6万9108円(対前年度比+1300円)
※厚生年金は「男性の平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)45万5000円)」で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準
増額後の月額は、国民年金(老齢基礎年金)は満額で6万9308円。また、厚生年金は「厚生年金を受け取る会社員の夫+国民年金を受け取る妻」の世帯をモデルとして23万2784円です。
ただし上記はあくまでも「年金例」。シニア世代が実際にどの程度受給できているかも気になりますね。
次では年齢別、男女別に平均年金月額を確認していきます。
3. 【厚生年金の平均月額】年代別一覧表(60歳~90歳以上)
厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとに、60歳~90歳以上の各年齢の平均年金月額を見ていきます。
まずは厚生年金(※)から見ていきます。
※厚生年金の年金額には、国民年金部分も含みます。
3.1 【厚生年金一覧表】60歳代(60〜69歳)
- 60歳:厚生年金9万6492円
- 61歳:厚生年金10万317円
- 62歳:厚生年金6万3244円
- 63歳:厚生年金6万5313円
- 64歳:厚生年金8万1700円
- 65歳:厚生年金14万5876円
- 66歳:厚生年金14万8285円
- 67歳:厚生年金14万9205円
- 68歳:厚生年金14万7862円
- 69歳:厚生年金14万5960円
3.2 【厚生年金一覧表】70歳代(70〜79歳)
- 70歳:厚生年金14万4773円
- 71歳:厚生年金14万3521円
- 72歳:厚生年金14万2248円
- 73歳:厚生年金14万4251円
- 74歳:厚生年金14万7684円
- 75歳:厚生年金14万7455円
- 76歳:厚生年金14万7152円
- 77歳:厚生年金14万7070円
- 78歳:厚生年金14万9232円
- 79歳:厚生年金14万9883円
3.3 【厚生年金一覧表】80歳代(80〜89歳)
- 80歳:厚生年金15万1580円
- 81歳:厚生年金15万3834円
- 82歳:厚生年金15万6103円
- 83歳:厚生年金15万8631円
- 84歳:厚生年金16万59円
- 85歳:厚生年金16万1684円
- 86歳:厚生年金16万1870円
- 87歳:厚生年金16万2514円
- 88歳:厚生年金16万3198円
- 89歳:厚生年金16万2841円
3.4 【厚生年金一覧表】90歳以上
- 90歳以上:厚生年金16万721円
※65歳未満の厚生年金受給者は、特別支給の老齢厚生年金の定額部分の支給開始年齢が引き上げられたため、報酬比例部分のみ受給している方も含まれる。
老齢年金の一般的な受給開始年齢は65歳からです。
65歳以降で見ると、厚生年金の平均月額は14~16万円台でした。
4. 【国民年金の平均月額】年代別一覧表(60歳~90歳以上)
次に国民年金を確認します。
4.1 【国民年金一覧表】60歳代(60〜69歳)
- 60歳:国民年金4万3638円
- 61歳:国民年金4万4663円
- 62歳:国民年金4万3477円
- 63歳:国民年金4万5035円
- 64歳:国民年金4万6053円
- 65歳:国民年金5万9599円
- 66歳:国民年金5万9510円
- 67歳:国民年金5万9475円
- 68歳:国民年金5万9194円
- 69歳:国民年金5万8972円
4.2 【国民年金一覧表】70歳代(70〜79歳)
- 70歳:国民年金5万8956円
- 71歳:国民年金5万8569円
- 72歳:国民年金5万8429円
- 73歳:国民年金5万8220円
- 74歳:国民年金5万8070円
- 75歳:国民年金5万7973円
- 76歳:国民年金5万7774円
- 77歳:国民年金5万7561円
- 78歳:国民年金5万7119円
- 79歳:国民年金5万7078円
4.3 【国民年金一覧表】80歳代(80〜89歳)
- 80歳:国民年金5万6736円
- 81歳:国民年金5万6487円
- 82歳:国民年金5万6351円
- 83歳:国民年金5万8112円
- 84歳:国民年金5万7879円
- 85歳:国民年金5万7693円
- 86歳:国民年金5万7685円
- 87歳:国民年金5万7244円
- 88歳:国民年金5万7076円
- 89歳:国民年金5万6796円
4.4 【国民年金一覧表】90歳以上
- 90歳以上:国民年金5万3621円
※65歳未満で受給している国民年金の受給者は繰上げ受給を選択した方。
65歳以降の国民年金の平均月額はいずれの年齢も5万円台でした。
5. 厚生年金と国民年金の「全体平均額」
年齢ごとの平均年金月額は確認しましたが、全体の平均額はいくらでしょうか。
厚生年金と国民年金の平均月額と、1万円刻みの受給権者数も確認します。
5.1 「厚生年金」の平均年金月額
- 〈全体〉平均年金月額:14万6429円
- 〈男性〉平均年金月額:16万6606円
- 〈女性〉平均年金月額:10万7200円
※国民年金部分を含む
厚生年金の平均月額は全体で14万6429円、男性は16万6606円、女性は10万7200円です。
5.2 「国民年金(老齢基礎年金)」の平均年金月額
〈全体〉平均年金月額:5万7584円
- 〈男性〉平均年金月額:5万9965円
- 〈女性〉平均年金月額:5万5777円
国民年金の場合、全体、男女ともに平均月額は5万円台です。
6. 【年金豆知識】第3号被保険者の要件と手続き
「第3号被保険者」とは、会社員や公務員など「国民年金の第2号被保険者」に扶養されている配偶者を指す区分です。
第3号被保険者は、自分で国民年金保険料を納める必要はありません。保険料は配偶者が加入する厚生年金保険制度が負担します。加入手続きは、原則として配偶者の勤務先を通じておこないます。
なお、第3号被保険者として年金加入できるのは、以下の要件に当てはまる人です。
6.1 第3号被保険者となる要件
1:日本国内に住んでいること
※海外に赴任する配偶者に同行する場合等、日本国内に住所を有しないが、渡航目的その他の事情を考慮して日本国内に生活の基礎があると認められる場合、居住要件に係る特例(海外特例要件)があります。
2:20歳以上60歳未満であること
3:厚生年金保険に加入する配偶者(65歳以上70歳未満で老齢または退職を理由とする年金の受給権を有する人は除く)に扶養されており、原則として年収が130万円未満であること。
※年収が130万円未満であっても、厚生年金保険の加入要件にあてはまる場合は、厚生年金保険と健康保険の加入対象となるため、第3号被保険者には当てはまりません。
7. まとめ|増額後の年金額を把握し、生活設計に活かそう
定年退職後の高齢者にとって、年金は大きな収入源の一つです。
自営業やフリーランスの人は国民年金のみの受給であり、公務員やサラリーマンの人は国民年金+厚生年金の受給となります。職種によって受給できる年金が変わるとともに、現役時代の納付保険料・期間によって、年金額は異なります。
本記事で紹介した年金額はあくまで平均額なため、ご自身の年金額を知りたい人は「ねんきん定期便」「ねんきんネット」を活用しましょう。
参考資料
- 日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
- 厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします」
- 厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「国民年金に加入するための手続き」
長井 祐人