2. 老後の年金だけではない|厚生年金に加入するメリット
厚生年金保険に加入して保険料を支払っているメリットは、老後に年金が受け取れるということだけではありません。不足のリスクに備えられたり、配偶者の保険料を抑えられたりするというメリットもあります。
2.1 遺族年金や障害年金を受け取れる
厚生保険に加入している方が亡くなった場合、一定の要件を満たした場合、遺族に遺族厚生年金が支払われます。遺族基礎年金の受給条件も満たしている場合は、どちらも受給可能です。
受給額は、老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3の金額で、条件を満たす場合、中高齢寡婦加算や経過的寡婦加算が加算されます。
また、厚生年金加入者が病気やけがによって障害状態と認められた場合、障害厚生年金が受給可能です。障害の程度によって1級から3級のいずれかが決められ、それぞれ支給額が異なります。
障害基礎年金との併給も可能なため、国民年金のみに加入している方よりも手厚い保障を受けられます。
2.2 扶養配偶者の保険料を支払わなくて済む
厚生年金では、被保険者に扶養されている配偶者は国民年金の第3号被保険者となり、保険料を支払わなくて済みます。
ただし、対象となる配偶者は、20歳以上60歳未満で厚生年金被保険者に生計を維持されており、年収が130万円未満であることが条件です。
これらの条件を満たした場合、厚生年金保険料はそのままで配偶者の分をまとめて支払う仕組みとなっており、世帯全体の保険料負担額を抑えられます。国民年金には扶養という概念がなく、夫婦それぞれが保険料を支払わなければなりません。
3. まとめにかえて
厚生年金保険料は、老後に約10年間厚生年金を受給すれば元を取れることがわかりました。標準報酬月額が低い場合ほど、少ない年数で元を取ることが可能です。
しかし、厚生年金に加入するメリットは老後に受け取る年金だけではありません。病気やけがのために働けなくなったときに手当金を受け取れるというメリットもあります。
保険料の支払いは負担になりますが、こういったメリットもあることを認識するのも大切なことです。
参考資料
- 全国健康保険協会「令和7年度保険料額表(令和7年3月分から)」
- 日本年金機構「は行 報酬比例部分」
- 日本年金機構「遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)」
- 日本年金機構「障害厚生年金の受給要件・請求時期・年金額」
- 日本年金機構「年金の併給または選択」
木内 菜穂子