社会保障給付の先細りが懸念される中で、老後生活に不安を抱える方もいるのではないでしょうか。国は高齢者向けの支援制度や給付金制度を用意しており、さまざまな場面で活用できます。

高齢者の方が知っておくべき制度ですが、現役世代の方も「将来、どのような給付金を受給できるのか」を知っておくとよいでしょう。また、高齢の親がいる場合、受給できる可能性がある給付金を教えてあげましょう。

1. 高齢者向けの給付金を5つ紹介

国が高齢者向けに用意している給付金制度の中で、代表的な制度を5つ紹介します。

1.1 年金生活者支援給付金

年金生活者支援給付金は、受給できる年金額や所得が一定以下の方へ支給される給付金です。「老齢」「障害」「遺族」の3種類があり、受給要件や受給額はそれぞれ異なります。

年金生活者支援給付金は、公的年金の上乗せとして支給されますが、要件に該当すると自動的に支給されるわけではありません。

受給するには申請が必要となっているため、年金事務所から郵便物が届いたら忘れずに申請しましょう。

1.2 厚生年金の加給年金

厚生年金の加給年金は年金版の「家族手当(扶養手当)」のような制度で、以下の「年下の配偶者」や「一定の要件を満たす子ども」を扶養しているとき、厚生年金の上乗せとして加算されます(いずれも年額)。

  • 配偶者:23万4800円(受給権者の生年月日によって特別加算額がある)
  • 1人目・2人目の子:各23万4800円
  • 3人目以降の子:各7万8300円

ただし、配偶者が老齢厚生年金(被保険者期間が20年以上または共済組合等の加入期間を除いた期間が40歳(女性の場合は35歳)以降15年以上の場合に限る)、退職共済年金(組合員期間20年以上)を受け取る権利があるとき、または障害年金を受けられる間は、配偶者加給年金額は支給停止されます。

1.3 高年齢雇用継続給付金

高年齢雇用継続給付金は、雇用保険の被保険者期間が5年以上あり、雇用保険に加入して働いている60歳以上65歳未満の方が受給できる可能性があります。

60歳以上65歳未満に受け取る賃金が、60歳到達時と比較して75%未満のとき、最高で賃金額の15%(2025年4月から10%に縮小)に相当する金額が支給されます。

たとえば、60歳到達時の賃金が40万円で60歳以上65歳未満の賃金が20万円の場合、受給額は「20万円×15%=3万円(2025年4月からは2万円)」となります。