1.3 高齢化によりサービス利用者が増えているから
介護保険料は高齢化による現役世代の介護負担を緩和するために設立されましたが、現在も高齢化は続いており、サービス利用者が増加しています。
厚生労働省の「令和4年度 介護保険事業状況報告」によれば、要介護(要支援)認定者は2000年度時点では256万2000人でしたが、2022年度には694万4000人と、約2.7倍に増えています。
最新の人口推計では、65歳以上の高齢者は3624万3000人と、日本国民1億2377万人の約3割を占めています。今後も高齢者が増加すればサービス利用者が増えて給付額が多くなるため、保険料はさらに高くなるでしょう。
1.4 介護報酬を引き上げたから
介護報酬の引き上げも、保険料の増加につながっていると考えられます。介護報酬は、介護サービス事業者に支払われるものです。被保険者が1割、保険者である自治体が残り9割を負担します。
2024年度の介護報酬は、以下のように引き上げとなりました。
- 介護報酬:1.59%
・介護職員の処遇改善:0.98%
・介護職員以外の職員の処遇改善:0.61%
職員の報酬が増える分、保険料負担も増える仕組みとなっています。とはいえ、介護職員の報酬アップは、今後の介護サービス運営において欠かせません。現状の仕組みの見直しが求められるでしょう。
1.5 完全免除を受けられることがほぼないから
介護保険料に限らず、社会保険料は税金のように完全免除されるケースがほぼありません。介護保険料においては、指定の障害者施設や医療施設へ入所している人は、介護保険の被保険者から外れ、保険料を納めなくてよいとされています。
また、自治体で軽減措置を設けている場合もあります。たとえば、東京都板橋区では、収入や預貯金額次第で、第2段階を第1段階の年間の保険料額に、第3段階を第2段階の年間の保険料額に減額しています。
介護保険料以外の健康保険料として納めるのが、国民健康保険料や後期高齢者医療保険料です。こちらも、保険料は軽減・減免の扱いとなっており、完全免除はされません。たとえ軽減されたとしても、いくらかは必ず支払わなければなりません。
税金は所得金額次第では非課税となるため、納付額が0円となります。しかし、社会保険料は完全免除されることがほぼないため、税金に比べてどうしても高く感じてしまうのです。
次章では、介護保険料の高い自治体と低い自治体を紹介します。