4. 年金制度改革関連法案の概要
国会への法案提出を目指している「年金制度改革関連法案」が採用されたら、主に以下の点が改正される見通しです。
- 基礎年金の給付水準の向上
- 厚生年金の適用対象となる要件の拡大
- 在職老齢年金制度の見直し
それぞれのポイントについて確認しましょう。
4.1 基礎年金の給付水準の向上
厚生年金の受給額を減らして、基礎年金の底上げに回す案が提言されています。基礎年金の受給額を上げるに代わりに、厚生年金の受給額が目減りする可能性があるため、反発を招く可能性が高く、実現が不透明な状況です。
4.2 厚生年金の適用対象となる要件の拡大
パートタイマーなどで働く人が厚生年金に加入できる企業の規模要件を見直すか議論が続いています。現行制度では、従業員数51人以上の企業であれば、社会保険に加入が必要な企業規模の要件を満たします。当初の案では、2029年に企業の規模要件を撤廃するイメージでした。
しかし、企業側の負担が増えるため、現時点では2035年に撤廃する方向で提言しています。
4.3 在職老齢年金制度の見直し
在職老齢年金は、65歳以上で一定の収入があると、公的年金の受給額が減額する制度です。働く高齢者が増えていることにより、在職老齢年金の制度を廃止するか、議論が続いています。
参考資料
- 日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
- 厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 厚生労働省「社会保険適用拡大対象となる事業所・従業員について」
- 日本年金機構「令和6年4月分からの年金額等について」
- 厚生労働省「年金制度改革に向けた提言」
川辺 拓也